国道189号

国道189号：日本で2番目に短い国道の謎

国道189号は、山口県岩国市に位置する、日本で2番目に短い国道として知られています。その全長は約400メートル。一般的な国道のイメージからはかけ離れた、非常に短い路線です。本稿では、この国道の歴史、地理的特徴、そして特異な状況について詳しく解説します。

歴史的背景：軍用道路から一般国道へ

国道189号の歴史は、岩国飛行場、すなわち米軍岩国基地と深く関わっています。かつて国際空港として機能していた岩国飛行場へのアクセス道路として、1953年に二級国道189号として指定されました。当時は羽田空港と並ぶ、西日本を代表する国際空港として重要な役割を担っていました。

しかし、米軍の管理下強化に伴い、民間機の離発着は1964年に廃止。一般人の立ち入りも制限されるようになり、国道189号の起点も基地内にありました。長年、道路維持管理上の課題が指摘されていましたが、2010年に道路区域変更が行われ、基地正門前に変更。これにより、全線が一般通行可能となりました。2012年には岩国錦帯橋空港が開設されましたが、国道189号は基地へのアクセス道路としての役割を維持しており、空港利用者にとっての利便性向上には寄与していません。

地理と路線状況：短いながらも複雑なルート

国道189号は、岩国空港正門前（起点）から国道2号との交点である立石交差点（終点）までを結んでいます。その短い距離にもかかわらず、国道188号との重複区間が存在し、案内標識類は設置されていません。この重複区間は、旧一級国道との接続を満たすための措置であると考えられています。

単独区間は片側1車線で整備されていますが、歩道は限られています。さらに、山陽本線との平面交差（川下踏切）も存在し、短いながらも複雑なルートとなっています。

「港国道」としての特殊性

国道189号は、いわゆる「港国道」に分類されます。「港国道」とは、港湾などにアクセスするための国道のことで、通常は主要港湾へのアクセス道路として整備されています。しかし、国道189号の場合、空港へのアクセスという点では山口県道110号岩国錦帯橋空港線に役割を譲っており、基地へのアクセス道路という特殊な存在となっています。この「港国道」としての位置づけと、短い路線長のギャップが、この国道の特異性を際立たせています。

まとめ：歴史と現状が織りなす、短い国道の物語

国道189号は、その短い距離とは裏腹に、複雑な歴史と現状を背景に持つ、特異な国道です。米軍基地との関わり、空港アクセス道路としての役割、そして「港国道」としての位置づけなど、様々な要素が複雑に絡み合い、独特の個性を持つ道路となっています。その存在は、日本の国土交通行政における歴史的経緯や、基地と地域社会との関係性を知る上で貴重な資料と言えるでしょう。今後の整備や役割の変化についても、注目していく必要があるでしょう。

参考文献

浅井建爾『道と路がわかる辞典』（初版）日本実業出版社、2001年11月10日
佐藤健太郎『国道者』新潮社、2015年11月25日
* 松波成行「おもしろ国道ア・ラ・カルト」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日

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