国鉄ア4形蒸気機関車

ア4形蒸気機関車について

ア4形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、1921年に阿波電気軌道のためにドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペル社で製造され、製造番号は9752となっています。この機関車は、0-4-0(B)型の車軸配置を持ち、出力は60HPくらいの性能を誇る単式2気筒飽和式のウェルタンク機です。

構造とデザイン

ア4形の液体タンクは、他の類似機が前後の台枠全体を利用して水タンクを形成していたのに対し、ア4形は独自のデザインを取り入れています。輪軸の上部に水平な仕切りを設けることで、浅く長いタンクを実現しています。この革新的なデザインは、当時の技術水準を感じさせるものです。

国有化とその後の運用

阿波電気軌道では4形(7)という名称で使用されていましたが、1933年に同社が国有化された際、鉄道省に編入されました。鉄道省では、最初に80形が計画されましたが、その小型さから実用的でないと評価され、結局カタログ通りに「ア4形」と改名されました。

国有化された後、ア4形は岡山で入換機関車に使われましたが、1936年には廃車にされました。しかし、直後も鷹取工場内で解体されることはなく保管されていました。その後、1939年に実習機として利用されることが決まり、設計は島秀雄が手がけました。この改造により、ボイラーやシリンダーは活用され、運転台が新たに設けられ、水タンクはサイドタンクに変更されました。この新たな機体は「若鷹」と名付けられましたが、車籍は復活しませんでした。

第二次世界大戦と戦後の運命

太平洋戦争の際には、機関車が不足していたため、無車籍のまま安治川口駅で入換用として使用されました。戦後、1948年に再び鷹取工場に戻りますが、その後の2000年には鷹取工場が再開発で閉鎖されることになり、京都市右京区のトロッコ嵯峨駅に移されました。ここではD51形蒸気機関車とともに静態保存されています。

同形機とその関連

ア4形と同型の機関車は、日本には阿波電気軌道のものを含めて3両のみ存在します。これらは全て軌間1,067mmという仕様であり、他にも加太軽便鉄道や山東軽便鉄道から移行した機体が存在します。

技術的仕様

ア4形蒸気機関車の主要諸元には、全長5920mm、全高3150mm、動輪直径800mmなどがあります。また、そのシリンダーの直径および行程はそれぞれ230mmと400mm、ボイラーの圧力は12.0kg/cm2です。多くの技術的仕様により、ア4形は独特の機関車として位置付けられています。

終わりに

ア4形は日本の蒸気機関車史上で特に貴重な存在であり、その独自のデザインや運用の変遷は、鉄道ファンにとっても魅力的な研究対象となっています。現在も静態保存されていることで、多くの人々にその存在を知ってもらえる機会が増えることを期待しています。

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