安治川口駅

安治川口駅：歴史と進化を続けるJRゆめ咲線の駅

安治川口駅は、大阪府大阪市此花区に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）と日本貨物鉄道（JR貨物）が乗り入れる桜島線（JRゆめ咲線）の駅です。1898年、西成鉄道の開業とともに設置され、当初から旅客と貨物の両方を扱う重要な拠点として機能してきました。

歴史：明治時代から現代まで

駅の歴史は古く、明治31年（1898年）に西成鉄道の大阪駅―安治川口駅間の開業と同時に誕生しました。その後、西成鉄道の延伸、国有化を経て、昭和15年（1940年）には駅構内でガソリンカーの脱線転覆火災事故が発生するなど、幾多の出来事を経てきました。昭和18年（1943年）には大阪北港駅への貨物支線が延伸、昭和36年（1961年）には線路名称改定により桜島線所属に変更、昭和57年（1982年）には大阪北港駅への貨物支線が廃止されるなど、時代とともに変化を遂げてきました。

国鉄分割民営化後の平成11年（1999年）には自動改札機の設置と橋上駅舎化が実現し、利用者の利便性が向上しました。平成13年（2001年）には路線愛称が「JRゆめ咲線」となり、ICOCAの利用も開始。貨物駅においても着発線荷役方式（E&S方式）を導入するなど、近代的な設備が導入されています。その後も、みどりの窓口の営業終了やみどりの券売機プラスの導入・撤去といった変化を経験し、令和5年（2023年）にはJR貨物の駅事務所棟の建て替えが完了し、高層化による物流施設への転用など、更なる発展を遂げています。

駅構造：旅客と貨物の両方を支える施設

旅客駅は島式ホーム1面2線の地上駅で、橋上駅舎を有しています。改札口は1ヶ所のみ。かつてはJR貨物の職員が改札業務を担当していましたが、現在はJR西日本交通サービスに業務委託されています。ICOCA利用可能駅であり、「大阪市内」の特定都区市内制度にも属しています。

一方、JR貨物駅は、コンテナホーム1面、着発線荷役方式（E&S方式）を採用した着発荷役線2本、留置線群、着発線などを備えています。2001年5月7日より着発線荷役方式を導入し、効率的な貨物取扱を実現しています。海に面した場所にはJR貨物関連会社の関西化成品輸送の化成品タンクがあり、構内側線が繋がっています。

貨物取扱：多様な貨物に対応

安治川口駅では、一般的な12ftコンテナに加え、20ft・30ftコンテナ、20ftのISO規格海上コンテナなど、様々なサイズのコンテナを取り扱っています。化学薬品（コンテナ）、港で陸揚げされたJR西日本向けのレール、産業廃棄物なども扱い、多様な貨物輸送を支えています。かつては車両（私有貨車）の取扱も行われていましたが、2008年3月をもって終了しています。

高速貨物列車：スーパーレールカーゴ

東京貨物ターミナル駅との間では、M250系貨物電車による高速貨物列車「スーパーレールカーゴ」が1日1往復運行されています。この列車は、コンテナの積み下ろし作業において、パンタグラフの巧みな操作により架線との干渉を回避する独自のシステムを採用しています。盛岡貨物ターミナル駅との間には、福山通運専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」も1日1往復運行されています。

利用状況

令和3年（2021年）度の1日平均乗車人員は約11,681人です。コンテナ貨物の発着量は年間35万トンにのぼります。

駅周辺

駅周辺には、工場や倉庫などが多く立地しています。

隣の駅

西九条駅とユニバーサルシティ駅に隣接しています。かつては大阪北港駅への貨物支線も存在していました。

安治川口駅は、長い歴史と近代的な設備を兼ね備えた、重要な交通拠点として大阪の経済活動を支え続けています。

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