国鉄オハ31系客車

国鉄オハ31系客車について

国鉄オハ31系客車（こくてつオハ31けいきゃくしゃ）は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が1927年に初めて導入した鋼製車体をもち、木造客車からの転換を遂げた客車の一群です。この系統の客車は、1926年に発生した大事故を受けて木造客車の安全性を再評価し、鋼製客車の必要性が認識されたことから開発されました。

背景と開発経緯

1926年9月、山陽本線で発生した特急列車の脱線転覆事故が、木造客車の脆弱性を認識させました。この事故の影響で、鉄道省は鋼製の客車製造へと方針を転換し、1927年からオハ31系客車の製造が進められました。先行試作車4両が1927年に竣工し、量産が始まります。新しい設計には、木造時代と同様の車体構造が採用されていましたが、材質が鋼製に変更されている点が特徴です。

車体と構造

オハ31系客車は、外板が鋼板で構成され、木造客車の台枠設計（魚腹式）を踏襲しています。柱や梁は鋼材が用いられていますが、初めは木造車両と似たような設計が維持されました。この過渡期において車両の重量削減が考慮され、内側には馬毛フェルトなどを適用して熱断熱が行われています。

車体長は、一般的な2軸ボギー車で17メートル、3軸ボギー車で20メートルとなっており、異なる台枠設計が採用されています。主にナハ23800形の設計を受け継ぎ、荷物車用の台車も準備されています。

主要機器とブレーキシステム

オハ31系客車では、木造車時代から使用していたTR型台車が引き続き利用されています。特に、新型のA動作弁が搭載されたブレーキ装置は、特急列車脱線事故を契機に保安性を向上させるために改良されました。このような改修は、運行における安全性を高めるための努力の一環でもあります。

各車両形式

オハ31系客車には、さまざまな形式が存在します。例えば、オハ32000形（初の三等座席車）、オハフ34000形（緩急車）などがあります。これらは、国鉄の車両称号規則が改正されるたびに名称が変更され、現在の形式名に至っています。

例：オハ32000形

オハ32000形（三等座席車）は、1927年から1929年にかけて512両が製造されました。この形式の車両は、当初は木製のナハ23800形に鋼製の素材を使った構造で、初期の名称はオハ44400形でしたが、称号規程の改正でオハ32000形に改称されました。

例：オハフ34000形

オハフ34000形（緩急車）も1927年から1929年にかけて製造され、座席定員は72名でした。名称変更も行われ、最終的にはオハフ30形に変わりました。

戦後の状況と廃車

戦後は、多くのオハ31系客車が米軍の空襲や事故に遭い廃車されましたが、一部はその後、他形式に改造されて使用されました。国鉄は、戦災時の被害を受けた車両の復旧や新しい形式の導入を行い、オハ70形など新たな客車に転用されるものも存在しました。

結論

国鉄オハ31系客車は、鉄道省が木造から鋼製へと客車の設計を移行させる際の重要な形態でした。安全性を確保するための取り組みや、時代の流れに応じた改修が行われ、長い間日本の鉄道に不可欠な存在でした。今でも多くの鉄道ファンに記憶され、鉄道歴における重要な一章とされています。

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