国鉄キハ43000形気動車

国鉄キハ43000形気動車の概要

国鉄キハ43000形気動車は、1937年に日本の鉄道省によって試作された電気式ディーゼル動車である。本車両は、当時の鉄道省の設計主任であった島秀雄の指揮の下で設計され、国内独自の大型ディーゼルエンジンを搭載している。キハ43000形は、ドイツやアメリカの流線形高速ディーゼルカーに影響を受けており、動力車のキハ43000形2両と付随車のキサハ43500形1両から成る3両編成が、神戸の川崎車輌兵庫工場で製造された。

車体の設計

この気動車は、軽量化と適切な重量配分を考慮して20m級のキハと17m級のキサハとで長さが異なる。また、車体は半鋼製でノーシル・ノーヘッダー構造の平滑なデザインが施され、前面は流線型で乗務員扉を省略している特徴がある。窓配置はキハが運転台側からの独自のレイアウトを持ち、車内には固定クロスシートが長距離向けに配置されている。便所と洗面所も設けられ、当時の気動車では豪華な仕様となっている。

動力・機関

キハ43000形には、鉄道省制式気動車用の超200馬力級のディーゼルエンジンが搭載され、横形の配置で床下に搭載されている。このエンジンは、当時の他の標準型ディーゼルエンジンと比べてもかなり大きなサイズを持ち、208馬力を発揮することができる。しかし、設計上の未熟さからか、エンジンに関しては運行開始後にトラブルが多発し、焼き付くなどの問題が相次いで現れた。これにより、低い運動性能と高い重量が相まって、量産には至らなかった。

運用と歴史

キハ43000形は、1937年5月11日に神戸地区で試運転を実施し、その後名古屋に配置された。同年の名古屋で開催された博覧会ではシャトル列車として利用されたが、運行開始後すぐにエンジンのトラブルが連発。結果的に性能が期待に達せず、定期運行を開始したのは同年10月29日からとなったが、その後も短命に終わる運命が待っていた。1943年には休車、1945年には浜松工場で爆撃により被災し、その後廃車となった。唯一残った付随車のキサハ43500も数回の改造を経て1957年に使用終了となった。

このように、国鉄キハ43000形は、設計思想や技術の進歩を示すものの、実運用における困難、並びに歴史的背景からその特徴と運命を持つ特異な存在であった。

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