国鉄ケ150形蒸気機関車

ケ150形蒸気機関車：知られざる工事用機関車の詳細

ケ150形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）およびその前身である鉄道院、鉄道省に在籍した、特殊狭軌線用のタンク式蒸気機関車です。この機関車は、鉄道建設の黎明期を支えた重要な存在でした。

概要

1920年（大正9年）、鉄道院は建設工事用として深川造船所に4両の機関車（ケ150 - ケ153）を発注しました。これは深川造船所にとって初の鉄道院からの受注であり、特筆すべき出来事でした。設計は製造者側で行い、鉄道院が承認するという形式がとられました。

ケ150形は、車軸配置0-6-0(C)のサイドタンク式機関車で、公称6トンとされています。国有鉄道が製造した工事用機関車の中では、軸重が最小であったことが特徴です。同じ製造者によることもあり、タンクの形態を除いてケ100形（第2種）と形態が類似していました。運転台とタンク周りには皿鋲を使用したフラッシュ仕上げが施され、外観上の特徴となっていました。

配置と運用

ケ150形は、1920年12月と1921年2月にそれぞれ2両ずつ落成しました。配置先は、ケ150が東京建設事務所、ケ151とケ152が新庄建設事務所、ケ153が大分建設事務所でした。その後、熊本、高知、岡山、岐阜、下関など各地の建設事務所を転々としました。一部は信濃川電気事務所にも配置され、電力関連の工事にも携わりました。

廃車とその後

ケ150形は、全車が1953年（昭和28年）度に廃車となりました。しかし、実際には1950年（昭和25年）頃から休車状態で放置されていたようです。長年にわたり日本の鉄道建設を支えたケ150形は、静かにその役目を終えました。

施設局における車蒸番号は、番号順に24, 18, 5, 22でした。

主要諸元

全長：4,877mm
全高：2,210mm
最大幅：1,676mm
軌間：762mm
車軸配置：0-6-0(C)
動輪直径：546mm
弁装置：ワルシャート式
シリンダー（直径×行程）：140mm×254mm
ボイラー圧力：11.2kg/cm2
火格子面積：0.28m2
全伝熱面積：6.6m2
ボイラー水容量：3.4m3
機関車運転整備重量：6.1t
機関車動輪上重量（運転整備時）：6.1t
機関車動輪軸重（各軸均等）：2.03t
水タンク容量：0.9m3
燃料積載量：0.14t
シリンダ引張力：870kg
ブレーキ方式：手ブレーキ

参考文献

金田茂裕「形式別・国鉄の蒸気機関車 国鉄軽便線の機関車」1987年、エリエイ出版部刊
臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 2」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 3」1976年、交友社刊
* 臼井茂信「国鉄狭軌軽便線 5」鉄道ファン1983年6月号 (No.266)

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