国鉄シキ120形貨車

国鉄シキ120形貨車について

国鉄シキ120形貨車は、日本国有鉄道が1952年に製造した貨車の一つであり、重さ80トンを運ぶことができる低床式大物車です。この貨車は、三菱重工業によって製作され、実際には1両のみが生産されましたが、その後もさまざまな改良が施された貨車です。さらに、三菱電機が所有する私有貨車となっていました。

製造と構造

シキ120形は、低床式の大物車として設計されており、特にその頑強な構造と多様な荷物に対応できる特性が魅力です。当初は80トンの積載を可能にする低床部を備えており、全長は29,200 mm、低床部の長さは5,500 mm、レール面からの高さは660 mmでした。この低床設計は、積み下ろしの効率を高め、多様な荷物の輸送に適していました。

この貨車は、3軸のボギー台車を4台搭載しており、これにより乗り心地や操作性が向上しています。また、台車の上には枕枠が設置されており、その上に荷受梁を載せる構造になっています。この荷受梁は交換可能で、さまざまな荷物タイプに対応できるよう工夫されています。

吊り掛け式と分割落し込み式

シキ120形貨車は、その後1953年に製造された吊り掛け式の梁を装備することにより、100トンの積載が可能な吊り掛け式貨車として生まれ変わります。最初の吊り掛け式の段階では、特に形式名としてまだアルファベットの区分がなかったため、シキ120Bという名称は用いられませんでした。この貨車が初めての吊り掛け式輸送に使用されたのは、三菱電機長崎製作所からの発電機固定子の輸送です。

次に1958年には、さらに改良が施された吊り掛け式の梁が加わり、110トンの積載を可能にするシキ120Bと名付けられます。この時、貨車の最大積載速度は、積載時が35 km/h、空車時は65 km/hで整理されています。空車時の死重は22トンで、この貨車の自重は68トン、全長は24,000 mmに収められています。

さらに、分割落し込み式としては115トンの積載が可能で、こちらはシキ120Cと呼ばれます。この貨車の全長は28,850 mmと少し短めですが、側梁の上に変圧器の荷重をかける設計になっており、空車回送時には11トンの死重を搭載する仕組みが採用されていました。

歴史と廃車

シキ120形貨車は、製造当初においては日本の貨車の中で最大荷重を誇るものであり、その影響力は決して小さなものではありませんでした。常備駅は塚口駅となり、長い期間にわたって様々な荷物の輸送に貢献しました。しかし、1986年11月29日には廃車の運命を迎え、新たな時代へとバトンタッチされていくことになります。

このように、国鉄シキ120形貨車は日本の貨車の発展において重要な役割を果たしており、その多様性と機能性は鉄道貨物輸送の歴史を彩る重要な存在であることを示しています。

もう一度検索