国鉄シキ130形貨車

国鉄シキ130形貨車の概要

国鉄シキ130形貨車は、1953年4月22日に日本車輌製造支店によって1両のみ製造された、大型荷物を運搬するための100トン積み分割落し込み式貨車です。この貨車は、東京芝浦電気（東芝）が所有し、日本国有鉄道（国鉄）に登録されていました。

特徴と技術的革新

シキ130形は、日本初の荷重100トンを達成した貨車であり、その投入により40000KVAを超える大型変圧器も分解せずに運搬することが可能になりました。この貨車はまた、分割落し込み式としても先駆的な存在で、従来の落し積み式とは異なり、貨物の搭載が大幅に容易になりました。具体的には、従来の方式では、貨物を貨車上部まで持ち上げるために起重機が必要でしたが、分割落し込み式では横梁を取り外すことができ、貨物を横移動させるだけで搭載位置へ運ぶことができました。

仕様

シキ130形の車体長は28,750 mmで、トラス構造の荷受梁は溶接と鋲接を組み合わせて製造されています。この貨車は、3軸ボギー台車を2基ずつ持ち、計12軸の複式ボギー構成をされています。ブレーキはKD254形を採用しており、運行に必要な安全性が確保されています。

当初、この貨車は走行性能の問題から最大速度が制限され、積荷の場合は35km/h、空荷の場合は45km/h、構内では20km/hに抑えられていました。しかし、1961年には脱線対策が施され、車体長が28,860 mmに増加するとともに、最高速度も改善されました。改造後は、積荷で45km/h、空荷で65km/hでの運行が可能になりました。

運用の変遷

シキ130形は、新芝浦駅を常備駅として運用を開始しましたが、1983年1月に貨物駅集約のため浅野駅へ移動しました。その後、同年11月には所有権が東芝物流に移行し、1985年6月4日に廃車となりました。

この貨車の運用は日本の貨物輸送技術に寄与し、今後の貨車デザインや運行方法に多くの影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献

• - 鉄道公報
• - 吉岡心平『大物車のすべて 中』（初版）ネコ・パブリッシング、2007年
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』（初版）日本鉄道車輌工業会、2009年

もう一度検索