国鉄シキ160形貨車

国鉄シキ160形貨車について

国鉄シキ160形貨車は、1955年3月16日に日本車輌製造によって一両のみが製造された特大貨物車両です。この貨車は、輸送に特化した130トンの積載能力を持ち、主に変圧器の輸送を目的として設計されました。シキ160形は当初、国鉄（日本国有鉄道）の車両として運用されていましたが、1987年に発生した国鉄の分割民営化の際には、日本貨物鉄道（JR貨物）に車籍が移されました。

構造と設計

本貨車の最大の特長は、吊掛式、いわゆるシュナーベル式の搭載方法です。これは、搭載される変圧器の容器が直接車体の一部として機能する仕組みで、両側の梁で吊り下げられて支えられています。この設計により、搭載する貨物によって車両の全長が変化するのが特徴です。空の状態では、全長は23,756mmに達し、改造前は23,526mmという長さであったことがわかります。

シキ160形の車体は高張力鋼製で、荷受け梁にトラス構造を採用しています。走行装置は両側にそれぞれNC-2形のボギー台車が2つずつ取り付けられ、各台車には3つのリンク式軸箱支持装置が備わっています。この配置により、計12軸で安定した走行性能を実現しています。1961年には、性能向上を目的とした改造が日本車輌製造東京支店で行われ、台車の車輪直径も800mmに変更されました。

運用の歴史

シキ160形は、製造当初は安善駅に常備されており、富士電機が製造した変圧器を全国各地に輸送していました。しかし、1962年に千葉工場が開設され、翌年には京葉臨海鉄道の開業があったため、京葉市原駅に常備場所が変更され、千葉工場からの出荷を主に担当するようになりました。

1968年のダイヤ改正においては、この貨車は高速運転には不適合とされ、最高速度は65km/hに制限されました。この際、識別のため貨車の記号に「ロ」が追加され、「ロシキ」として知られることになりました。また、黄1号の帯が巻かれて目立つようになりました。

終焉と保存

シキ160形は、1997年9月に最後の変圧器輸送を実施。1998年には全検切れとなり、その後は工場内で静かに保管されていました。しかし、2007年8月には三重県いなべ市の貨物鉄道博物館に寄贈され、静態保存されることとなりました。2010年には、貨車の発達を示す重要な車両として評価され、ホキ5700、ワフ21000、名鉄ト200と共に重要科学技術史資料に指定されました。

このように、国鉄シキ160形貨車は、日本の鉄道史において特異な役割を果たしながら、その歴史と技術の象徴として現在も静態保存されているのです。

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