国鉄シキ170形貨車

国鉄シキ170形貨車

国鉄シキ170形貨車は、日本国有鉄道および日本貨物鉄道に属する特殊な貨物車で、1955年7月15日に東芝府中工場でのみ製造されました。この貨車は、170トンの積載能力を持つ吊り掛け式の大物車で、最初の常備駅は新芝浦駅でした。

シキ170形は、1960年1月29日と1964年8月19日に他の低床式梁を追加建造されることで、135トンと70トンの積載ができるように改良されました。この改良により、貨車はシキ170Bと呼ばれ、日本国内で最大の荷重を持つ貨車の一つとなりました。

シキ170形は、四軸ボギー台車を4台備え、合計16軸を持つ構造です。荷受梁はトラス形状をしており、上から見ると幅広な貨物側と細くなっている車端側の形をしています。空車時の全長は27,600mmで、最大貨物長は8mとされています。連結器は両端の台車に取り付けられていますが、車体長1mあたりの軸重制限に対応するために、1m以上はみ出す形で設置されている点が特徴的です。

最初に製作された低床式梁はシキ170Aと呼ばれ、その後製造されたもう1つの低床式梁に伴いシキ170A1に改名されました。シキ170A1の積載能力は135トンで、荷受梁を交換することで活用されました。車体の全長は35,000mm、低床部は5,500mmの長さを持ち、レール面上では1,050mmとやや高めでした。

続いて製作されたシキ170A2は、70トン積みの低床式で、枕枠を介さずに台車の上に直接梁を載せる構造でした。この車両は、全長21,500mm、低床部長さ6,000mm、レール面上高さ750mmという仕様でした。

シキ170形は、日本における中型の大物車として四軸ボギー台車を使用した唯一のモデルですが、蛇行動が発生しやすいという欠点も指摘されています。1956年7月には尻手駅で脱線事故を起こし、その結果として空車時の運転速度が15km/hに制限されました。このため、運用上の実用性に欠けたことから、改良工事が行われました。両端の台車に死重を追加し、連結器の張り出しを調整するなどの対策が講じられました。さらに1961年には、脱線対策として張り出し部分が完全に撤去されました。

1977年10月には、保守が難しくなった中空式車軸を12トン短軸と860mm径の車輪に交換する工事が行われ、これに伴う自重の増加により各梁の積載が10トン減少しました。1981年11月には常備駅が神奈川臨海鉄道の末広町駅に変更され、1983年11月には所有者が東芝物流に移行しました。最終的には、1987年3月にシキ170A1・A2の梁が廃車され、残ったシキ170Bも老朽化によりシキ800形のシキ810に置き換えられ、2003年に廃車となりました。

このように国鉄シキ170形貨車は、多様な改良を経て運用され、最終的には時代に淘汰されていった歴史があります。

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