国鉄シキ25形貨車

国鉄シキ25形貨車の詳細

国鉄シキ25形貨車は、1960年8月29日に日本車輌製造の支店で製造された特異な設計を特徴とする貨車です。この貨車は50トンの積載量を持ち、特に落し込み式の大物車として設計されています。所有者は東京芝浦電気（東芝）社で、製造の目的は大型の変流器や変圧器の効果的な輸送を実現することでした。

この貨車の構造は、魚腹形台枠を持ち、長物の輸送に特化しています。全長は18,480 mm、車体長は17,600 mmです。車体の中央部には、約8,000 mmの長さと2,160 mmの幅を持つ穴があいており、この穴を通して貨物を落し込んで積載する仕様となっています。この設計により、大型機器の効率的な積み降ろしが可能となります。

台車は、TR92と呼ばれるベッテンドルフ式の3軸ボギー台車を2基装備しています。また、ASD254-356形の手動式積空切り替えブレーキが搭載されており、安全性と機動性が考慮されています。これにより、運行中の安定性が確保されています。

シキ25形貨車は、1961年に信越本線を走行中に車両限界にあたる部分が原因で接触事故を起こしました。この事故を受けて、当年中に改造が施され、台枠の側梁下部が切り詰められ、剛性の低下を防ぐための補強工事が実施されました。このような改善策は、貨車の運行における安全性を高めるための重要な措置でした。

常備駅としては、最初は新芝浦駅に置かれていましたが、社名変更を経て1984年5月に東芝の所有となりました。貨物駅の集約に伴い、名目上は浅野駅を経由して安善駅へ常備駅が移動しましたが、実際の留置場所には変更がなく、新芝浦駅に留まりました。

この貨車は、2002年12月に廃車となるまで長い歴史を有しており、日本の貨物輸送の中で特異な役割を果たしてきました。シキ25形貨車は、その構造や運用から、日本の鉄道貨物技術の一つの歩みを象徴する存在です。

参考文献として、吉岡心平著の『大物車のすべて 中』や、貨車技術発達史編纂委員会による『日本の貨車 -技術発達史-』が挙げられ、これらは貨車の設計や技術の発展についての理解を深めるために貴重な資料とされています。

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