国鉄シキ670形貨車

国鉄シキ670形貨車

国鉄シキ670形貨車は、1971年5月1日に日本車輌製造によって1両のみが製造された120トン積みの吊り掛け式大物車です。この貨車は、1974年9月26日に同じ製造元で110トン積みの分割落し込み式梁が追加され、元々の吊り掛け式梁はシキ670B、追加された梁はシキ670Cと名付けられました。

当初、この貨車は日本国有鉄道に所属していましたが、1987年の国鉄分割民営化の際には日本貨物鉄道（JR貨物）に継承されています。足回りに関しては、他の貨車と同様にTR210形二軸ボギー台車を6台、つまり12軸分搭載しています。車端側には台車上枠が設置され、荷受梁がその上に載せられています。ブレーキ装置は、K弁とUC形シリンダーを組み合わせた手動積空切り替え方式を採用しており、空車時には最高速度が75 km/h、積載時には45 km/hまで出すことができます。

シキ670形のB梁は全溶接構造のガーダーで製造されており、空車時の全長は19,580 mmとなっています。一方でC梁は全長28,080 mmを誇り、貨物を積載する部分の長さは12,000 mm、幅は2,010 mmです。

この車両は三菱電機が所有する私有貨車として、常備駅は西浜信号場に位置しましたが、2003年11月に上組の所有に変更されました。最終的には、2005年5月にB梁・C梁ともに廃車となりました。

この貨車に関する情報は、鉄道公報や、吉岡心平著の『大物車のすべて 中・下』『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』、また『日本の貨車 -技術発達史-』などの文献を参考にしています。

国鉄シキ670形貨車は、その特徴的な構造と特異な仕様により、貨物輸送において重要な役割を果たしました。時代の変化とともに様々な技術が導入される中、この貨車の設計もまた貨車技術の発展の一端を担っていたのです。

もう一度検索