国鉄セキ6000形貨車

国鉄セキ6000形貨車

国鉄セキ6000形貨車は、日本国有[[鉄道]]（国鉄）および国鉄分割民営化後の日本貨物[[鉄道]]（JR貨物）に在籍した石炭輸送用の貨車です。この形式は、セキ3000形貨車の改造によって誕生しました。

概要

1969年12月、従来のボギー式石炭車は、脱線事故防止のため積車時の最高速度が65km/hから55km/hに制限されました。この制限を解除するため、セキ3000形の一部車両の足回りを改良することになり、1968年から1970年にかけて合計1,509両がセキ6000形として国鉄工場で改造されました。改造は、各鉄道管理局単位で実施され、山陽本線向けの岡山鉄道管理局を皮切りに、広島、門司の各管理局へと順次進められました。北海道地区でも、根室本線での脱線事故が多発したため改造対象となり、結果としてセキ6000形の総数は1,509両に達しました。予算の都合上、セキ3000形全車の改造は実現せず、北海道ではセキ3000形も併用されました。

改造の重点は台車に置かれ、枕バネを柔らかくすることでレールへの追従性を向上させました。種車のセキ3000形には2種類の台車（TR41A、TR41C）が用いられていましたが、これらはTR41Bに改造されました。区別のため、TR41Aからの改造車はTR41B、TR41Cからの改造車はTR41B'と称されました。

セキ6000形の基本的な仕様は、全長8,750mm、全幅2,720mm、全高3,365mm、台車中心間距離4,900mm、実容積36.3m3、自重15.0tで、換算両数は積車時4.5、空車時1.6でした。積車時の最高速度は65km/hとなりましたが、他の貨車よりも低速であったため、記号番号標記には特殊標記符号「ロ」が前置され「ロセキ」と表記されました。また、車体には最高速度が65km/h以下であることを示す黄色の帯が巻かれ、北海道地区の車両には黄色で「道外禁止」と表記されました。

運用

セキ6000形は、本州、九州、北海道で石炭や石灰石などの輸送に用いられました。1987年4月の国鉄分割民営化後には、536両がJR貨物に承継されました。

伯備線・山陽本線

伯備線・山陽本線では、山陽本線倉敷駅 - 姫路駅間のダイヤ制約を解消するため、1968年に先行改造されました。新日本製鐵広畑製鐵所向けの石灰石輸送列車に使用され、伯備線内ではD51形蒸気機関車の三重連で牽引される区間もありました。

美祢線・宇部線

美祢線・宇部線では、美祢駅 - 宇部港駅間の宇部興産向け石灰石ピストン輸送に用いられていましたが、宇部興産専用道路の開通により運行本数が減少し、JR化後の1998年3月31日を最後に運行を終了しました。末期にはセキ8000形も併用されましたが、編成内での混用はされず、セキ6000形のみ、またはセキ8000形のみで22両編成が組まれていました。最後に残った車両も同年度中に廃車となり、形式消滅しました。解体は広島車両所のほか、大阪の浪速貨物駅でも行われ、1998年12月12日にはセキ6000形20両がEF65形1000番台に牽引され、浪速貨物駅へ回送されました。

九州地区

九州地区では、三菱鉱業セメントの石原町駅 - 黒崎駅間の石灰石輸送や、三井三池炭鉱の大牟田駅 - 金田駅間の石炭輸送などに使用されました。

北海道地区

北海道地区では、根室本線でセキ3000形の脱線事故が頻発したため、同線への入線はセキ6000形に限定されました。セキ6000形とセキ3000形が併用された線区では、最高速度が65km/hで走行できず、列車全体として55km/hに制限されました。

保存車

セキ6000形の一部は、現在も以下の場所で保存されています。

セキ6657 - 北海道三笠市 三笠鉄道記念館
セキ7342 - 北海道小樽市 小樽市総合博物館

参考文献

鉄道公報
『日本の貨車-技術発達史-』（貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年）
吉岡心平『RM LIBRARY 151 無蓋ホッパ車のすべて（上）』（ネコ・パブリッシング、2012年）ISBN 978-4-7770-5322-3

関連項目

国鉄の車両形式一覧

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