広島車両所

広島車両所：歴史と現在、そして未来

広島県広島市東区矢賀にある広島車両所は、日本貨物[[鉄道]]（JR貨物）の車両基地であり、同時に工場としての機能も有する重要な施設です。敷地面積77,803㎡の広大な敷地内では、長年にわたり機関車や貨車の整備、検修が行われてきました。現在、広島車両所に所属する車両はありませんが、関西支社所属の電気機関車、ディーゼル機関車、貨車の検修業務の中核を担っています。

広島車両所の業務は、機関車や貨車の定期検査、修理にとどまりません。広島貨物ターミナル駅東端の天神川駅近くに位置する仕業検査センターでは、列車運行の前後に行われる仕業検査も実施しています。これにより、安全かつ効率的な貨物輸送を支えています。一方、乗務員の基地である広島機関区とは異なり、検修業務は行っていません。

広島車両所は、一般の方々にもその姿を公開する機会を設けています。毎年10月20日頃には、貨物フェスティバルの一環として一般公開を実施しており、普段見られない車両基地の様子を見学することができます。この一般公開は、地域社会との連携を深める上でも重要な役割を果たしています。

歴史を紐解くと、広島車両所は1943年3月23日、鉄道省広島鉄道管理局広島工機部として発足しました。当初は蒸気機関車の検修を主な業務としていましたが、1945年8月6日の原爆投下により被爆しました。爆心地から4.25kmという距離に位置しながらも、建物の倒壊は免れ、その日、多くの被爆者を収容し救護にあたるなど、災害時における役割も担いました。翌日から業務を再開し、その後も日本の貨物輸送を支え続けてきました。

その後、1949年に日本国有[[鉄道]]に移管され、1955年には広島工場と改称。1960年にはディーゼル機関車の検修を開始し、1962年には気動車、電車、そして電気機関車の検修へと業務を拡大していきました。1964年には貨車の検修も開始し、多様な車両の整備に対応できる体制を構築しました。1973年には蒸気機関車の検修を終了しましたが、その歴史は広島車両所の重要な一部として刻まれています。1984年には客車の検修も開始し、車両の種類を問わず幅広い業務に対応可能となりました。1985年には組織改正に伴い、現在の名称である広島車両所に改称されました。

1987年の国鉄分割民営化により、JR貨物に継承された広島車両所は、その後も近代化を進め、検修技術の向上に努めてきました。1991年にはJR西日本所属電車・気動車の重要部検査の受託を終了しましたが、JR貨物車両の整備に注力し続けています。1996年には広島機関区の検修部門を統合し、業務効率の向上を図りました。2000年には鷹取工場閉鎖に伴い、梅田貨車区の業務も引き継ぎ、その役割はさらに大きくなっていきました。2021年には広島機関区所属車両の全車が転属完了しました。

広島車両所には、機関車検修を行う第1主棟と、貨車検修を行う第2主棟があります。第1主棟の西側にはJR西日本の電車交検庫があり、かつては同社が所属電車の交番検査を行っていました。整備済み車両には「HS」の略号が車体に記され、台車には検査年月日が手書きで記載されます。構内入換用には20t入換動車が配置され、1987年3月からは軌陸両用の貨車移動用蓄電池車も導入され、主に第2主棟内で使用されています。

また、広島車両所には貴重な保存車両も存在します。D52 1（準鉄道記念物）、EF59 21、EF66 1、EF500-901、EF200-10、EF67 1、EF67 105など、歴史的価値の高い車両が保存されており、鉄道史を学ぶ上で重要な場所となっています。過去の保存車両としては、EF66 11、EF65 75、EF58 113（前頭部のみ）、EF81 5（試験塗装）、EF59 16（先頭部のみ）、EF61 4（前頭部のみ）、EF66 30（署員用塗装機）などが挙げられます。

さらに、広島車両所は2032年度までの工期で現地建て替えによる大規模な改修計画が進められています。この計画は、老朽化した施設の更新と、今後の貨物輸送ニーズに対応するための重要な取り組みです。改修後も、広島車両所はJR貨物の重要な拠点として、日本の物流を支え続けることでしょう。地理的には、JR芸備線矢賀駅から徒歩7分の場所に位置しています。

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