国鉄セキ8000形貨車

国鉄セキ8000形貨車

国鉄セキ8000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）が1981年度から1983年度にかけて、老朽化したセキ3000形・セキ6000形を置き換える目的で製造した30t積の石炭輸送用貨車です。エネルギー革命による石炭輸送量の減少に対応しつつも、オイルショック後の石炭利用見直しに伴う安定輸送を担うため、155両が製造されました。

概要

セキ8000形は、ク5000形貨車から台車、連結器、ブレーキ制御弁を流用し、車体を新製して製造されました。従来のセキ貨車は、高重心で軸距が短いため脱線事故が多発し、速度面でも課題がありましたが、本形式ではこれらの点を改善し、積車時でも最高速度75km/hを目標とした走行性能が実現されました。車体構造はセキ3000形を踏襲しつつ、全長を250mm延長して8,050mmとし、荷役方式は側扉からの自重落下式で、開閉は手動で行われました。

台車は、ク5000形から流用したTR63C・TR63CFをベースに、鋳鉄製の制輪子を採用したTR63G型としました。これは、積雪時でも安定した動作を確保するためのもので、石炭車では唯一のころ軸受け台車となっています。また、TR63系台車の代替としてTR213系台車も使用できるよう考慮されていました。

運用の変遷

北海道地区

当初、セキ8000形は北海道地区でセキ3000形・セキ6000形と共に運用され、1987年の国鉄分割民営化に際しては、全車が日本貨物鉄道（JR貨物）に継承されました。しかし、1989年3月23日にJR貨物の道内石炭輸送が終了すると、1990年度から廃車が始まり、一部は美祢線・宇部線や九州地区での石灰石輸送に転用されました。

九州地区

九州地区では、北海道地区からの余剰車が鹿児島本線の大牟田駅と伊田線の金田駅間の石灰石輸送に用いられました。この際、私有貨車のホサ8100形と混用され、75km/hでの高速運転が行われました。

美祢線・宇部線

美祢線・宇部線では、1991年頃から美祢駅と宇部港駅間の宇部興産向け石灰石列車に、北海道からの余剰車が転用されました。セキ6000形と併用されましたが、編成はセキ6000形のみ、またはセキ8000形のみで構成され、それぞれ22両編成で運用されました。しかし、石灰石輸送が宇部興産専用道路経由のトラック輸送に完全に切り替わったことで、1998年3月31日をもって運用を終了し、JRグループから石炭車は保存車を除いて姿を消しました。

保存車

現在、セキ8026が北海道江別市で保存されています。北海道電力江別発電所専用線の跡地に、小型ディーゼル機関車と連結された状態で静態保存されています。

参考文献

吉岡心平「国鉄貨車教室 第62回」 - 『レイルマガジン 2006年8月号 No.275』（ネコ・パブリッシング）p.126
吉岡心平『RM LIBRARY 151 無蓋ホッパ車のすべて（上）』（ネコ・パブリッシング、2012年）ISBN 978-4-7770-5322-3

関連項目

* 国鉄の車両形式一覧

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