国鉄タキ5450形貨車

国鉄タキ5450形貨車

国鉄タキ5450形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）によって1964年から1994年にかけて製造された、液化塩素専用の25t積タンク車です。後には日本貨物鉄道（JR貨物）にも車籍が受け継がれました。この貨車は「黄タキ」としても知られ、液化塩素の安全な輸送を目的として設計されています。

車両の構造

タキ5450形は、マンホール弁が付いた直円筒形のタンク体を持ち、その外観は高圧ガス保安法に基づき、目立つ黄色の塗装（黄1号）で仕上げられています。輸送中の安全を考慮し、中和剤の入った石灰箱も装備されています。また、鉄道連絡船を利用して輸送する際には、取卸口を密閉化し、中和剤として液状カセイソーダが用意されています。このような改造が施された車両には「航送用」の文字が表記されています。

形式と製造経過

タキ5400形

タキ5400形は、液化塩素専用のタンク車としては初めての25t積車で、1957年から1965年にかけて15両が製造されました。タンク材質としてボイラー鋼板が使用され、混載配送に適した設計がなされていました。この形式は1979年から毒性物質の分類のため「毒(G)26」が標記され、重要な役割を果たしました。1987年の国鉄分割民営化時に継承された6両は、1991年に廃車となりました。

タキ5450形

タキ5450形は1964年から1994年にかけて697両が製造され、タンク体の鋼材が高張力鋼に変更されて軽量化が図られました。台車はTR41CからTR41Dに改良され、一部の車両では高性能を追求してコロ軸受のTR211BやTR216Bも採用されました。また、1987年の国鉄分割民営化時には485両がJR貨物に引き継がれ、以降も製造が続けられましたが、タンクコンテナの普及や老朽化に伴い2011年に形式が消滅しました。

改造と使用例

タキ5400形からタキ5450形への改造は、1969年に行われ、一部のタンクを高張力鋼へと換装したことで新たな形式に変更されました。さらに、同年には塩化ビニル生産プラントの事故を受けて、一時的にタキ5450形の5両がタム9300形に改造され、塩化ビニル輸送に転用されたこともあります。

結論

タキ5450形は、国内の化学輸送を支える重要な存在であり、その安全性や機能性を考慮した設計により多くのシーンで活躍しました。時代の流れとともに形を変える中でも、貨物輸送の要としての役割を果たし続けました。

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