国鉄デハ63100系電車

デハ63100系について

デハ63100系は、1923年から1925年の間、日本国有鉄道に所属していた木造直流電車の総称です。これは、前身である鉄道院と鉄道省から続く電車のひとつで、特に京浜線用としての役割を果たしました。この系列には、デハ63100形およびサハ33550形が含まれ、改造された車両もここに分類されます。

概要

デハ63100系の製造は、関東大震災による輸送需要の高まりに伴い行われました。デハ63100形は123両、サハ33550形は140両が製造され、その後改造されたデハ43200系の車両も編入されることとなりました。これら車両は、幅2,800mm、長さ16,150mmの木製車体を持ち、屋根にはモニター屋根が設けられています。客用扉は片側に3か所あり、室内にはロングシートの座席が配置されました。

主電動機は675Vの端子電圧で、各電機メーカーが競い合って設計しました。日立製作所からはRM-257、芝浦製作所からはSE-114、東洋電機製造からはTDK-502といった様々な形式の電動機が採用されています。また、主制御器には芝浦製作所のRPC-101が使われ、これが国産制式化されたMC1と共に、以降の旧形電車の標準となりました。

基本形式

デハ63100形は片運転台式の三等制御電動車として、1924年から1926年にかけて123両が製造されました。この中で一部は、焼失した未成車の台枠を再利用しています。これにより、オーバーハングが長く、改造後も識別可能だったとされています。製造状況は以下の通りです。

• - 1924年：28両（63100～63127 日本車輌製造）
• - 1925年：59両（63128～63186）
• - 1926年：36両（63187～63222）

サハ33550形は付随車として製造され、140両が1923年から1925年にかけて作られました。サハ33550形の側面窓配置は2D121D121D2で、製造の内訳も日本車輌製造や汽車製造に分かれています。

改造車両の受け入れ

1930年代には、元々小田原線電化のために製造されたデハ43200系から、多数の改造編入が行われました。これにより、デハ63100形は195両、サハ33550形は148両にまで増加しました。この編入により、両グループの形状や構造が一部変更され、運行上の利便性が向上しました。

車両形式の変更

1928年には新たな車両形式称号規程が施行され、デハ63100形はモハ10形、サハ33550形はサハ26形へと改名されました。この改名に際して、いくつかの車両が事故廃車となり、運行状況なども変わっていきました。

戦中・戦後の改造

戦中、サハ33550形から制御車への改造が進められ、さらに教習車や荷物制御電動車としての改造も行われました。特に、モヤ11形やモユニ12形といった新たな形式が生まれ、これらは主に教習や荷物の輸送に使われるようになりました。

また、クハ17形への改造なども行われ、戦後も多くの車両が新たな形式として活躍しました。ただし、戦争の影響や老朽化による廃車が相次ぎ、使用されなくなった車両も多く存在しました。

終焉

1960年代に入ると、電動車両や制御車は次第に廃車され、デハ63100系は完全に姿を消します。取り残された車両は少数で、最終的に旅客用としては使用されなくなる運命を辿りました。

このように、デハ63100系は日本の鉄道史の中で重要な役割を果たし、多くの技術革新をもたらしました。今後もその歴史的価値は多くの人々に認知されていることでしょう。

もう一度検索