国鉄トム11000形貨車

国鉄トム11000形貨車の詳細

国鉄トム11000形貨車は、かつて日本国有鉄道に属していた無蓋貨車です。この貨車は1940年に製造され、全体で1,721両が生産されました。製造を担ったのは日本車輌製造本店およびその支店、川崎車輛、汽車製造支店であり、これに加え鶴見臨港鉄道からの10両が編入されました。

トム11000形は、15トンの積載能力を持つ二軸無蓋車として設計されており、他の同系列のトム19000形とは異なり、仕様変更が行われた結果、番号割当が異なるという特異な状況が見られます。

製造背景と設計

この形式は、日中戦争の影響を受けて資材に制約が生じ、元々鋼製であったあおり戸と妻板が木製に改められました。これにより製造中のトム19000形と比較して、いくつかのサイズ的特長が調整される結果となっています。具体的には、台枠や走行装置はトム19000形と共通ですが、荷台の内法が若干短くなり、床面積も縮小したというデータがあります。

• - 荷台内法：長さ7,156 mm、幅2,480 mm、高さ850 mm
• - 全長：8,056 mm
• - 自重：8.5t

このように、設計においては効率性が求められましたが、戦後の復旧活動でも影響を残しています。

戦時下の改造

戦局が厳しさを増す中、1943年からトム50000形との共通運用を図るため、貨車の増トン改造が進められました。この改造の結果、17トン積みのトラ20000形への転換が行われ、当初は本格的な構造変更が施されました。しかし後に工数削減のため、簡易的な改造に切り替えられ、車両の番号はトム時代の番号に10000を加えた形となり、トラ21000から22720の範囲に振り分けられました。戦後は、早期に復元改造が施され、1949年度末には1,586両が在籍していました。

廃車とその後

トム11000形の本格的な廃車が始まったのは1960年度からだったとされ、1968年のダイヤ改正では全車が高速化の対象から外され、主に北海道内での運用に限られました。219両が残ったものの、実際に車両が消滅したのは1970年と推測されています。
その書類上の消滅は1985年度となっています。

改造と同形車

一方で、1953年にはローダー式雪かき車キ950形に付随する横積みコンベア車に一両が改造されました。また、1957年には長物車チ1000形、さらに1960年にはトラ40000形の改造の原型車としても使用された事例があります。これにより、トム11000形の引退後もその技術は継承されることになります。

同形式に類似した貨車としては、鶴見臨港鉄道のトム2201形があります。これらは1941年に製造され、後に国鉄トム11000形に編入されることとなります。これらの情報は、日本の鉄道歴史において非常に重要な部分を占めています。

国鉄トム11000形貨車は、戦時下における日本の貨物輸送の重要な一翼を担っていただけでなく、その後の貨車改造や復元のプロセスにおいても重要な役割を果たしてきました。その歴史と技術的背景は、今日の鉄道貨物輸送につながる大切な足跡を残しています。

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