国鉄トラ55000形貨車
国鉄トラ55000形貨車の概要
国鉄トラ55000形貨車は、1962年から1966年にかけて製造された、無蓋貨車の一種であり、当時の日本国有鉄道（国鉄）で運用されていました。この貨車は、18トンおよび15トンの積載能力を持つ二軸無蓋車で、13,205両が日立製作所、若松車輛、ナニワ工機によって製造されました。その大きな特徴は、前級であるトラ45000形に比べ、全体の長さを66 mm、幅を89 mm大きくし、そして自重を0.2トン軽くすることで、1トンの増積を可能にした点です。このため、トラ45000形とは異なる補助符号「ス」をつけて「ストラ」と呼ばれることもありました。また、国鉄の無蓋車として初めて全鋼製の車体を採用したことも大きな特長の一つです。
主要な諸元
トラ55000形の主要な諸元は、以下の通りです。
この貨車には二段リンク式の走り装置が採用されており、最高運転速度は75 km/hに設定されています。また軸距は4,300 mmであり、これは前々級のトラ40000形に戻されたものでした。
製造時期による区分
この形式は、製造時期により以下の3種類に分けられます。
1. 試作車（トラ55000 - トラ55004）：1962年に製造された5両で、車体は鋼製、あおり戸と妻板はプレス鋼板製でした。
2. 木製あおり戸前期形（トラ55010 - トラ55069）：1963年から1964年度の初期生産車の60両が木製のあおり戸を採用しており、外見がトラ45000と類似していたため、「コトラ」として誤記されることが多かったです。
3. 前期形（トラ55100 - トラ56739）：鉄製のあおり戸を持つ1,640両から構成され、床面積に釘を打てないため支柱用の金属製角環が設けられましたが、使い勝手が悪く廃止されました。
4. 後期形（トラ56740 - トラ58239）：改良が施された1,500両で、あおり戸と床板が強化され、積荷固定用に埋木が設けられましたが、これも使い勝手の面で改善が必要でした。
運用と改造
この貨車は、全国各地でのバラ積み輸送において重宝されましたが、保守面での課題がありました。前期形は腐食問題が発生し、状態不良車は短期間で廃車にされました。1970年代には、比較的良好な620両が改造され、後期形に準じた仕様に変更されました。また、鋼製あおり戸の保守性向上のために数両で試験も行われました。
廃車と保存
トラ55000形の本格的な廃車は1974年度から始まり、その後も数を減らし続け、1986年度には形式消滅となりました。JRには一両も引き継がれませんでしたが、現在は次の2両が静態保存されています。
こうした無蓋貨車の歴史は、国鉄の貨物輸送における重要な一部を形成していました。
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