国鉄トラ90000形貨車

国鉄トラ90000形貨車の概要

国鉄トラ90000形貨車（こくてつトラ90000がたかしゃ）は、日本国有鉄道（国鉄）が1964年から1971年にかけて製作した17t積みの二軸無蓋貨車です。この貨車は、製造当初から主に紙の原料として用いられるチップを運ぶために設計されています。

構造と特徴

トラ90000形は、トラ23000形およびトラ35000形の改造によって生まれました。その構造は、貨物の特性に応じた設計が施され、見かけ比重の小さいチップを効率的に積載できるよう工夫されています。特に、木製のあおり戸の上部に金網の柵が追加されており、積載容積が大きく向上しています。この構造により、砕石や石炭などのばら積み貨物にも対応した特性を持っています。また、無蓋貨車として濡れても問題ない物品を運ぶことが一般的ですが、チップは水分を吸収し重くなる性質があるため、雨から保護するためのシートがかけられて運行されました。

輸送のための、柵の形状や開放方式は扱い駅の荷役設備によって多様に設計されており、さまざまなバリエーションが存在しています。

使用期間と運用

当初は、日本国内で樹木から得られるチップを製紙工場へ運ぶために使用されていましたが、鉄道貨物輸送の量が減少し、輸入チップの割合が増える中で、次第にこの貨車の運用は減少しました。1987年4月の国鉄分割民営化時には、213両が日本貨物鉄道（JR貨物）に譲渡されました。最初は北海道の陣屋町駅と萩野駅間で輸入チップの輸送に使用されていましたが、その後、新型車両であるワム80000形480000番台の登場によって2002年には全車が廃車となりました。

形式と改造

トラ90000形は、その構造によって3つの種類に分けられます。最初のモデルはトラ23000形からの改造車（トラ90000 - トラ90196）で、197両が製造されました。1968年には低速車として指定され、トラ190000形に改称されました。次に、トラ35000形からの改造による主力グループがあり、ここからは2237両が製造され、最高速度は75km/hとなっています。また、1971年には側扉の自動開閉を試みた試作車（トラ99000, トラ99001）が製作されました。

一部の車両は国鉄分割民営化の前後にトロッコ列車として改造され、JR東日本やJR東海によって一部車両が継承されるなどして、運用され続けました。

終焉

特定の積載用途に最適化されたトラ90000形貨車は、私有貨車ではなく全て国鉄所有として運用されました。長らく使用されてきましたが、時代の変化に伴いその役割を終えることとなりました。日本の鉄道史の一部として、その役割と特性が記憶に残ることでしょう。

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