国鉄マニ44形客車

マニ44形：国鉄が製造したパレット輸送用荷物車

マニ44形は、1978年から日本国有鉄道（国鉄）が製造したパレット輸送用の荷物車です。当時の鉄道小荷物輸送におけるパレット化推進と、老朽化したマニ60形やマニ36形などの置き換えを目的としていました。1983年までに161両が製造され、ロールボックスパレット輸送に対応した新たな標準形式として、短期間で大量に製造されました。旧型の荷物車を置き換えるとともに、荷物列車や旅客列車に連結され、広範囲に活躍しました。しかし、荷物輸送の終了に伴い、製造からわずか4～8年で145両が廃車となるという短命な車両でもありました。

構造

マニ44形は、従来のパレット輸送用荷物車であるスニ40形やスニ41形をベースに、車体長を19,500mmに大型化したのが特徴です。車体はワム80000形貨車に似たプレス加工鋼板製の角型屋根を持ち、側面にはアルミ製の4分割荷物扉が設置されています。荷役作業の効率化のため、荷物扉は全開構造で、側面全体が扉となっています。荷物室部分には窓がなく、車体の強度を保つために、台枠中梁は中央部分の高さを増した魚腹構造を採用しています。

車体の前後には業務用扉、業務用室、車掌室が設けられ、後位側面の車掌室には一段上昇式の側窓があります。妻面は3面折妻構造で、左右下部に標識灯、中央上部にHゴム固定の小窓、中央下部には隣の車両への通り抜け用の「くぐり戸」が設置されています。一般的な旅客車両にある貫通路はありません。換気のために、屋根上にはガーランド形通風器が4基、車掌室の屋根上には角型（押込型）通風器が1基設置されています。車体全体は、扉や屋根も含めて青15号（濃青色）で塗装されています。

室内には、パレットを固定するための脱着式の横棒が設置され、天井には作業灯があります。パレットの積み降ろしを容易にするため、床面は従来の荷物車にあったスノコ状の構造ではなく、平床とされています。荷重は17トンで、国鉄標準のB形パレットを24個積載可能です。

台車は新規設計のTR232形で、50系客車用のTR230形をベースに、軸ばねの改良やブレーキシリンダの台車枠側面への設置などの変更が行われています。ブレーキ装置はCL方式（応荷重増圧装置付）の自動ブレーキを搭載しています。暖房装置は蒸気暖房と電気暖房の両方を備えており、全車に2000番台の車両番号が与えられました。

運用

製造当初から、国鉄の各線区で荷物列車として使用されたほか、一部は旅客列車に連結され、新聞や雑誌などの輸送にも使われました。しかし、1986年11月1日の国鉄ダイヤ改正で小荷物輸送が全面廃止されると、マニ44形は用途を失い、大部分の車両は全般検査を受けることなく廃車されました。

JRには16両のみが引き継がれ、そのうちJR東海が引き継いだ車両は「カートレイン名古屋」用として、ジョイフルトレイン「ユーロライナー」と塗装を揃えた4両編成で連結され、乗用車輸送に使用されました。その後、「トロッコファミリー号」用に改造されたオハフ17形2両を除いて、1996年までに廃車され、マニ44形は形式消滅しました。

オハフ17形：トロッコ列車用への改造

「トロッコファミリー号」の乗車定員を増やすため、1993年と1996年にマニ44形から1両ずつ改造されたのがオハフ17形です。1号車は片側のみ貫通構造、11号車は両端とも貫通構造という違いがありました。

最初に登場した1号車は赤色に黄色の帯が入った塗装でしたが、1996年の11号車は青色をベースに窓回りがクリーム色、腰板に金色で「CENTRAL JAPAN RAILWAY」のロゴを描いたものに変更され、2両とも塗装が統一されました。形式の「17」は、車両の性能を示すものではなく、伊那地方を走行することから名付けられたものです。

以下に、オハフ17形への改造に伴う新旧の番号対照を示します。これらの車両も、「トロッコファミリー号」の廃止に伴い、2006年に運用を離脱し、2007年11月5日付で廃車となりました。

マニ44 2158 → オハフ17 1 (1993/1/29)
マニ44 2157 → オハフ17 11 (1996/2/21)

参考文献

誠文堂新光社 『国鉄客車・貨車ガイドブック』 1971年
鉄道ジャーナル社 『国鉄現役車両1983』 鉄道ジャーナル別冊No.4 1982年

外部リンク

社団法人 日本パレット協会

関連項目

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