国鉄ヨ2000形貨車

国鉄ヨ2000形貨車

国鉄ヨ2000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）が運用していた事業用の貨車で、主に車掌車としての役割を果たしていました。この貨車は、1937年から1938年にかけて製造されたもので、鋼製車掌車として初めて登場した新しい形態の貨車でした。これにより、従来の木製客車を改造したものから、より耐久性や安全性に優れた設計へと進化を遂げました。

概要

製造に関しては、汽車製造や日本車輌製造本店およびその支店が携わり、合計100両が京番号ヨ2000からヨ2099として製造されました。具体的には、1937年度には日本車輌製造本店が40両、汽車製造が30両、日本車輌製造支店が30両分の車両を供給しました。

仕様と構造

国鉄ヨ2000形貨車は、鋼製のため堅牢で、従来の貨車とは異なり片側に限らず両側デッキが設計されました。このデッキは鋼の丸棒で仕切られ、乗務員が安全に業務を行えるよう配慮されています。また、車体の軸距は4200mmで、スパンの長い重ね板ばねによるサスペンションが採用され、快適な乗り心地を提供しました。中央部には4つの窓が整然と配置され、内部には車掌が業務を行うための執務机と椅子、加えて長椅子も設置されています。ただし、便所は設けられておらず、この点では乗務員の利便性が考慮されていない部分もありました。

このデザインは、後に製造されるヨ3500形やヨ5000形といった新型車掌車にも受け継がれ、国鉄の標準的な形態となっていきました。塗色は黒で統一されていました。

運用状況

国鉄ヨ2000形貨車は登場以降、全国的に広く使用されましたが、第二次世界大戦中には12両が戦災により廃車となりました。戦後は、後続の車掌車に比べて暖房用ストーブが搭載されておらず、室内灯が石油ランプである等の理由から、1964年に乗務環境の改善が図られました。この際、車軸発電機や蓄電池の導入により電灯が導入され、石炭ストーブも設置されました。

さらに、1967年には走行性能の向上を目的とした改造が実施され、軸ばね吊り受けが二段リンク式に変更されるなど、脱線事故の防止策が講じられました。それでも最高速度は75 km/hに留まり、当時の旅客輸送の要求には及びませんでした。

老朽化が進行する中、ヨ2000形貨車は次第にヨ8000形などの新しい形式に置き換えられ、貨物列車の縮小にも伴って1985年に形式消滅を迎えることとなります。

保存状況

現在、国鉄ヨ2000形貨車の中で唯一静態保存されているのは、ヨ2047です。この車両は京都府与謝郡与謝野町にある加悦SL広場に保存されており、訪れる人々にその歴史を伝えています。

国鉄ヨ2000形貨車は、貨物運輸の歴史の中で重要な位置を占めた車両であり、今も多くの歴史好きの人々に親しまれている存在です。

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