国鉄1530形蒸気機関車

1530形蒸気機関車：知られざる樺太の軌跡

1530形は、鉄道院に籍を置いたタンク式蒸気機関車です。そのルーツは、九州鉄道が1894年にイギリスのシャープ・スチュアート社から輸入した2両の機関車に遡ります。

誕生と国有化

輸入された機関車は、車軸配置0-6-0(C)の飽和式中型タンク機関車で、九州鉄道では25形（25, 26）と称していました。1907年の国有化に伴い、鉄道院の車両形式称号規程に基づき、1530形（1530, 1531）に改称されました。

樺太へ

国有化後、1530形は北九州地区で建設用に使用されていましたが、1915年7月に樺太庁鉄道へ移管されます。鉄道院時代の形式番号のまま、主に東海岸線や川上線で活躍しました。この際、煙室の延長・大型化が行われ、外観が変化しています。

南樺太の内地化と終焉

1530形は樺太で良好な成績を収め、1943年の南樺太の内地化によって、再び鉄道省（国有鉄道）に編入されました。太平洋戦争終戦間際には、入換用として大泊で使用されていた記録が残っています。

しかし、1945年のソ連軍による樺太侵攻により、1530形も接収され、ソ連国鉄に編入されたと考えられています。その後の消息は明らかになっていません。

主要諸元

全長：8,617mm
全高：3,671mm
軌間：1,067mm
車軸配置：0-6-0(C)
動輪直径：1245mm
弁装置：スチーブンソン式基本型
シリンダー（直径×行程）：381mm×508mm
ボイラー圧力：9.8kg/cm2
火格子面積：1.1m2
全伝熱面積：74.4m2
煙管蒸発伝熱面積：67.5m2
火室蒸発伝熱面積：6.9m2
ボイラー水容量：2.3m3
小煙管（直径×長サ×数）：44.5mm×3,183mm×152本
機関車運転整備重量：34.99t
機関車空車重量：27.80t
機関車動輪上重量（運転整備時）：34.99t
機関車動輪軸重（最大・第3動輪上）：11.79t
水タンク容量：3.31m3
燃料積載量：1.22t
シリンダ引張力（0.85P）：4,930kg
ブレーキ装置：手ブレーキ

参考文献

臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 I」1984年、プレス・アイゼンバーン刊
川上幸義「樺太の機関車」鉄道ピクトリアル1966年8月号 No.187

1530形は、その生涯において、九州、樺太、そしてソ連と、数奇な運命を辿った機関車でした。その詳細な記録は多くありませんが、日本の鉄道史における重要な1ページを飾る存在と言えるでしょう。

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