国鉄1700形蒸気機関車

1700形蒸気機関車

1700形蒸気機関車は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に所属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、元々陸奥鉄道によって1922年に製造されたもので、製造は雨宮製作所によるものでした。陸奥鉄道ではA形と呼ばれ、その後国有化を経て1700形と改名されました。

機関車の設計と特長

1700形は、2気筒単式の飽和式で、車軸配置は0-6-0(C)のサイドタンク式、重量は33トンに及びます。特に目を引くのはその大型のサイドタンクで、運転台の出入り口を一杯に使用していました。このタンクは運転台の背面に炭庫が設置されており、機関車のデザインにおいて特徴的な要素となっています。また、砂箱はドーム型の新しい設計が採用され、従来の角型から進化しています。

第2缶胴上に設置されたシリンダー部分はD形のスライドバルブを使用し、弁装置には当時の最新技術であるワルシャート式が取り入れられていました。また、動輪は不等間隔に配置されるという独自の設計が採用され、これは同クラスや上位クラスの機関車にも見られる特徴です。

変遷の歴史

国有化された後、1700形は青森で入換作業に使用されましたが、1938年には新潟臨港鉄道へと譲渡されました。この際、番号は1701に変更されていますが、形状はそのままでした。譲渡後、新潟臨港鉄道では空気ブレーキを蒸気ブレーキへと戻し、1940年には新潟臨港開発に改称されました。その翌年には再度国有化され、形式番号1700形に戻されたものの、番号は1701のままとされました。

その後、この機関車は主に建設用や専用鉄道に貸し出され、1949年には東北肥料秋田工場に売却されました。

北総鉄道との関係

1700形の設計に似た機関車は、1923年に北総鉄道に2両（101, 102）が導入されました。それぞれは後に番号が4と5に改番されたものの、1944年の東武鉄道との合併により、その後の改番は4のみが1950年に廃車される結果となりました。残った17は1954年に第一セメント川崎工場に譲渡され、その運命は異なる道をたどりました。

技術的諸元

• - 全長: 8,441 mm
• - 全高: 3,505 mm
• - 全幅: 2,388 mm
• - 軌間: 1,067 mm
• - 動輪直径: 1,067 mm
• - ボイラー圧力: 12.5 kg/cm²
• - 運転整備重量: 33.24 t
• - 動輪重量: 12.43 t
• - 水タンク容量: 3.7 m³
• - 燃料積載量: 1.2 t

まとめ

1700形蒸気機関車は、その独特な設計と多様な運用歴から、鉄道の歴史において特別な位置を占めています。歴史を通じて変化する技術と環境に対応し、各時代のニーズに応じた役割を果たしたこの機関車は、日本の鉄道史の一端を担った機体と言えるでしょう。

もう一度検索