国鉄190形蒸気機関車

190形蒸気機関車の概要

190形は、1872年に日本に輸入された蒸気機関車であり、鉄道院や鉄道省に在籍しました。この機関車は、日本初の鉄道開業時に導入された5形式10両の一つで、ダブス社の製造によるものです。特に興味深いのは、本機関車が2両を背中合わせに連結した「双合機関車」として設計された点です。とはいえ、その使用目的や設計哲学には疑問が残ります。

構造と特徴

190形は、動輪の直径が1,371mmで、車軸配置は2-4-0(1B)です。運転台は前方に風除けが設けられた一方で、側面と後部は開放されており、軽量な鋼管によって屋根が支えられています。この機関車は、特徴的な側水槽を持ち、小型化した炭庫が設置されています。このため、タンク機関車でありながらも、外観的にはテンダー機関車に似ていました。

また、排気管にはバタフライ弁による反圧ブレーキが搭載されていますが、手ブレーキはなく、後部の緩急車にのみ設けられていました。これは単独運行に際して制約となった要因の一つです。連結器には特許技術が使われており、直進時やカーブ時に特有の動きを見せるものでしたが、その設計の意図は不明です。

改造と運用

190形は、使用開始から半年後にバンを取り外し、機関車単体で運行できるように改造されました。木製の手ブレーキも新設され、特殊な連結器はねじ式連結器に交換されています。さらに、1895年と1897年には大規模な改造が行われ、外観が大きく変化しました。この改造により、運転性能も向上しましたが、実質的には1895年以降の機関車は新たに生まれ変わったと見ることもできるでしょう。

運転経歴

初期の運用では、京浜間での運行が中心でした。特殊な設計への適応には時間がかかりましたが、徐々に使用頻度が増し、最終的には1894年に「D形」として再分類されました。改番に伴い、190形としての新たな番号が与えられ、1911年には尾西鉄道に払い下げられました。最終的に、1927年に廃車となり、現在ではその実物は存在しません。

主要諸元

190形の主要な諸元には、全長6,807mm、全高3,658mm、軌間1,067mm、動輪直径1,410mmなどが含まれます。ボイラー圧力は9.8kg/cm²で、シリンダーの直径と行程は305mm×457mmです。使用される蒸気圧も高く、さまざまな運転条件に対応できる工夫が施されています。

結論

独特の形態と複雑な設計が特徴であった190形。日本の鉄道史の中で、忘れられがちな存在ではあるものの、その機械的な美しさとユニークな設計は今でも多くの鉄道愛好家に語り継がれています。

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