国鉄193系電車

国鉄193系電車について

国鉄193系電車は、日本国有鉄道（国鉄）によって設計された直流専用の電気検測用試験電車です。この電車は、信号や架線の検測を行うための特別な車両で、具体的にはクモヤ193形とクモヤ192形の2種類が存在します。

車両の構成

クモヤ193形は架線の検測を行う車両であり、その性能を支える重要な装置として下枠交差型のパンタグラフが搭載されています。一方、クモヤ192形は信号の検測を主な役割とし、クモヤ192-1では後方のパンタグラフを通じて架線も検査可能です。

この電車の外装は青15号に黄5号の警戒帯が施されており、屋根はねずみ色、床下は黒で仕上げられています。そして、車体側面には車両番号が記された上に「電気検測試験車」との表記があります。また、連結器は運転台側に双頭式が採用されています。

車両の歴史と運用

国鉄193系電車は1980年に近畿車輛で新製され、当初は首都圏の架線の検測用に設計されました。当時使用されていた191系電車を置き換える目的で導入され、公式試運転を経て、品川電車区に配置されました。この後、新潟地区や首都圏の各線にて検測作業に従事しました。

この車両の特徴の一つは、架線の測定技術の革新です。それまでの可視光線による測定からレーザーに転換したことで、昼間でも精密な検測が可能になりました。また、最高車速は特急列車のダイヤを利用することも考慮され、120 km/hに設定されています。

車両モデルの違い

国鉄193系は新造された0番台と、交直両用検測車から改造された50番台の2種類が存在します。これらは共通点としては直流専用の電気検測車であるという点があるものの、その他は異なる設計をされています。クモヤ192形はATC車上装置を搭載し、速度測定のために特別な台車が用意されています。

2003年頃、E491系が新たに登場した後、国鉄193系はJR東日本に承継されましたが、その後の置き換えにより東京総合車両センター内に保管されていました。しかし、2013年には正式に除籍され、廃車される運命を辿ります。

クモヤ193・192-51

この電車には、1966年に日立製作所で製造された交直両用電気検測試験車、クモヤ495系が改造されたクモヤ193・192-51型も存在します。この車両は非貫通式の高運転台構造を採用しており、パノラミックウインドウを備えています。

国鉄分割民営化後は、JR東海に引き継がれ、中京圏の路線でも使用されました。改造時の塗装は、当初の赤13号にクリーム4号の警戒帯から、後に青15号に黄5号の警戒帯に変更されました。これもまた、JR東海の運用終了により1998年には廃車となりました。

国鉄193系電車は、日本の鉄道検測技術の進化を象徴する存在であり、その特異な特性や経歴は、多くの鉄道ファンや技術者にとって大変興味深い対象となっています。

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