国鉄3030形蒸気機関車

国鉄3030形蒸気機関車

国鉄3030形蒸気機関車は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院・鉄道省に所属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車はアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスから輸入され、車軸配置は2-6-2 (1C1) の形式を持ちました。特に、このモデルは製造番号10-24 1/4Dの規格に基づき設計され、諸元が小さめの3300形や3250形と類似しています。

機関車の歴史

3030形は、1884年に奈良鉄道が開業のために5両を導入したのが始まりです。製造号は13899から13903までで、これらの機関車は1905年には関西鉄道に譲渡され、その後1907年には国有化されました。この時、関西鉄道での名称は93形「春日」とされ、国有化後は3030形として1909年に新たに形式が定められました。国有化以降、これらの機関車は大阪、姫路、岡山、広島などの地域に配置され、主に入換作業に使用されました。

主要諸元

3030形は、全長9,754mm、全高3,607mm、軌間1,067mm、動輪直径は1,219mmという特性がありました。シリンダーは381mmの直径と508mmの行程を持ち、ボイラー圧力は9.8kg/cm2に達しました。機関車の運転整備重量は36.76t、空車重量は30.97tであり、動輪上重量は27.79tという数値が示されています。この形式の特徴的な部分は、弁装置がスチーブンソン式アメリカ型である点です。

特徴と性能

この機関車は、最大で5,040kgのシリンダ引張力を発揮することができました。また、手ブレーキと蒸気ブレーキという二種類のブレーキ装置を装備しており、安全性も考慮されています。

譲渡と廃車

3030形のうち、1919年に廃車された3両は民間へ譲渡されることとなります。具体的には、3031は秋田を始め、八高線や小海線の建設用に使用され、1947年に廃車される運命となりました。3032、3033、3034もまたそれぞれの鉄道に移籍し、1940年代に至るまで活躍しましたが、最終的には廃車となりました。

同系機の存在

国鉄3030形は、私鉄にとっても魅力的な機関車であり、大正時代にかけて複数の鉄道が同系の機関車を導入しました。例えば、富士身延鉄道では1914年から1920年にかけて7両が導入されたほか、青梅鉄道や常総鉄道など複数の私鉄でも同形機が見られました。

ファイナルステージ

国有化後の3030形は、鉄道の近代化や新型機関車の導入が進む中で、1940年代中盤には全機が廃車されました。しかし、この形式は、日本の鉄道史において重要な役割を果たし、技術の進歩を示す一つの証となっています。

最後に、3030形蒸気機関車はその歴史的な背景や技術的な特性の両方から、日本の鉄道文化に大きな影響を与えた機関車であり、今なお多くの人に覚えられています。

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