国鉄3700形蒸気機関車

3700形蒸気機関車

3700形はかつて日本国有鉄道が運営していたタンク式蒸気機関車です。1907年から1909年にかけて、鉄道院や鉄道省の前身によって製造されました。この形状は「2-6-4(1C2)」と呼ばれる車輪配置を持ち、ヴォークレイン4気筒複式の飽和式タンク機関車です。すべての機関車は、兵庫工場で製造され、国有鉄道に移行した山陽鉄道の最後の機関車となります。

製造と改称

3700形の製造は、まず1907年に2両、1908年に1両、1909年に3両の合計6両が行われました。これらの機関車は全て兵庫工場において製作され、製造番号は18から23までに当たります。元々、これらの機関車は国有化以前に山陽鉄道に所属していたため、初めは35形（153-158）として分類されましたが、1909年に鉄道院が新たに整備した車両形式称号規程により3700形（3700-3705）へと改称されました。

設計と特徴

3700形は、山陽鉄道32形を基にした設計を採用し、従輪を2軸ボギー台車に変えています。また、側水槽よりも後部の水槽を重視した構造を持っており、さらに後部水槽の上には炭庫があります。この炭庫は幅を狭めることで後進運転の際の視界が向上しています。特筆すべきは後部のボギー台車にもブレーキ装置が備えられている点ですが、国有鉄道の時代にはこの装置は撤去されています。また、3703号機は蒸気過熱器の試験車両としても使われましたが、これも早期に取り外されています。

運用と廃車

3700形は運行開始後、大阪に配置され、阪神間での貨物列車の運行や、山陽線西部での区間列車にこともありました。しかし、1925年には他のヴォークレイン複式機関車とともに廃車される運命をスタートさせました。その中で3705号は、1926年に五日市鉄道に譲渡され、その後長い間使用されました。五日市鉄道は1940年に南武鉄道に統合され、その機関車は南武鉄道の10号機となりました。1944年には戦時中の買収により再び国有鉄道に戻りましたが、そのまま運用されることはなく、1948年に廃車および解体されました。

主要スペック

3700形の機関車は、全長が11,938mm、全高が3,683mm、全幅は2,743mm、そして軌間は1,067mmです。動輪直径は1,270mmで、弁装置はスチーブンソン式アメリカ型を使用しています。また、シリンダーは高圧292mm×559mm、低圧483mm×559mmです。ボイラー圧力は12.7kg/cm²で、機関車の整備重量は約59.70t、空車時の重量は約46.97tに達します。他にも、水タンク容量は8.07m³、燃料積載量は1.95tとなっています。

3700形は、蒸気機関車としては初期の重要な存在であり、国有鉄道の成立過程においても歴史的な役割を果たしました。

もう一度検索