国鉄4030形蒸気機関車

4030形蒸気機関車の概要

4030形は、日本の鉄道史に名を刻むタンク式蒸気機関車であり、かつて日本国有鉄道およびその前身である鉄道院と鉄道省で活躍していました。この機関車は、1906年に施行された鉄道国有法に基づき、九州鉄道から引き継がれました。具体的には、車軸配置が0-8-0(D)で、2気筒の飽和式タンク機関車として設計されており、計3両（4030 - 4032）が存在しました。

歴史的背景

この4030形機関車は、もともと筑豊鉄道が1895年にアメリカに発注したもので、ボールドウィン・ロコモティブ・ワークスによって製造されていました。製造番号は14250から14252であり、1897年に筑豊鉄道が九州鉄道に事業を譲渡した際には、92形（92 - 94）と改称されました。なお、この時にボイラーが振り替えられ、番号が製造番号の逆順に変更されることとなりました。

機関車デザインは、筑豊鉄道の車軸配置0-6-0(C)タンク機関車（後の鉄道院1320形）に近いものでしたが、使用成績は期待ほど良くなかったようです。最初は若松に配置され、筑豊炭田からの運炭列車に従事していましたが、その後早々に入換用に転用されることとなりました。

また、当時の記録には、後部に水槽車を接続し、テンダー機関車のような使用方法が記載されています。このような変則的な運用が行われていたのは、機関車の特性や運用環境によるものであると考えられます。

受難の歴史

この機関車が日本に到着するまでには、一つの受難がありました。3両の機関車は海路で神戸港に運ばれた後、和船に積み替えられて門司港に向かう途中、暴風雨の影響で1艘が山口県近くの三田尻港で沈没しました。この和船にはボイラーや車輪などが搭載されており、引き揚げられた後、無事に組み立てが行われました。最終的に、24号機は8月24日、23号機は9月1日に試運転が行われ、使用できる状態となりました。

主要諸元

4030形の主要な諸元は以下の通りです。

• - 全長：10,408mm
• - 全高：3,330mm
• - 全幅：2,476mm
• - 軌間：1,067mm
• - 車軸配置：0-8-0(D)
• - 動輪直径：1,067mm
• - シリンダー（直径×行程）：406mm×559mm
• - ボイラー圧力：10.5kg/cm²
• - 火格子面積：1.47m²
• - 全伝熱面積：82.1m²

機関車の運転整備重量は42.77トン、空車重量は33.47トン、動輪軸重は12.50トンでした。

廃車とその後

4030形は1923年1月に廃車が決定されました。その後、1両の払い下げも保存もなく全て解体されることとなり、歴史の舞台から姿を消しました。これにより、4030形は日本の蒸気機関車の中では短い歴史ながらも、重要な位置を占める存在となりました。鐵道の発展に寄与したこの機関車の記録は、当時の鉄道事情を知る上で貴重な資料となっているのです。

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