国鉄5600形蒸気機関車

5600形蒸気機関車について

5600形は、かつて日本国有鉄道の設立前にあたる鉄道院および鉄道省に属していたテンダー式蒸気機関車です。この機関車は、1899年と1902年にイギリスのベイヤー・ピーコック社で製造され、合計18両が日本鉄道に納入されました。また、東武鉄道でも同系統のB3形が運用されました。

機関車の構造と技術的特徴

5600形は4-4-0の車軸配置を持った、2気筒単式の飽和式テンダー機関車です。動輪の直径は1,372mmで、基本的な性能や寸法は当時の5500形と同一ですが、設計変更により形状が大きく進化しました。弁装置はスチーブンソン式を採用し、安全弁にはラムズボトム式を使用しています。

この機関車の目を引く特徴は、ベルペヤ火室の導入にあります。これは、ベルギーの技術者A・ベルペヤによって開発されたもので、内火室と外火室がほぼ同じ形状を持つため、缶水の循環が良く水垢がつきにくいという利点があります。その外見は角ばったものとなり、近代的な外観を与えていますが、ボイラーとの接続が難しいため、一般的には使われていませんでした。

さらに、ボイラーの中心高さが高められたことで、ランボードの高さも上がり、運転台の構造も改善されました。これは、乗務員がより快適に操作できるよう設計された結果です。

主要諸元

この機関車の主な諸元を見ていくと、全長は14,382mm、全高は3,810mm、全幅は2,502mm、軌間は1,067mmです。動輪の直径は1,372mmで、シリンダーの直径は406mm、行程は559mmです。

ボイラー圧力は10.5kg/cm2、火格子面積は1.57m2、全伝熱面積は89.7m2、蒸発伝熱面積は83.4m2に達し、火室による蒸発伝熱面積は6.3m2、ボイラー水の容量は2.6m3です。また、動輪の重量は23.92t、機関車運転整備重量は35.58t、空車重量は32.32tです。

経歴と運用

5600形は、日本鉄道において最初に導入された機関車の一つで、国有化後は5600形として再編成されました。この機関車は主に東北線系統で使用され、1927年から1929年にかけて廃車となりました。その中でも、7両が樺太鉄道に譲渡され、混合列車の牽引に活用されました。

また、5605号は陸軍の鉄道連隊に転用され、後に東武鉄道に引き入れられる運命を辿りました。

東武鉄道B3形

東武鉄道のB3形は、5600形と類似した設計を採用していますが、動輪径が1524mmに拡大されている点が特徴です。一部のB3形は1960年から1966年にかけて廃車となりましたが、現在は静態保存されているものも存在します。

結論

5600形は、その独自の設計と技術革新により、日本の鉄道史において重要な役割を果たしてきました。今後もその歴史的価値は、鉄道マニアや研究者によって語り継がれていくことでしょう。

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