国鉄62系電車 (初代)

62系電車の概要

62系電車は、1943年に日本国有鉄道の前身である鉄道省によって、身延線用に製造された電車です。これらの電車は、木造車両の鋼体化を進める中で生まれました。この系統の電車は、2扉クロスシートを備えた全長17メートルの旧形電車として知られています。具体的には、制御電動車であるモハ62形（62001 - 62003）と制御車のクハ77形（77001 - 77003）の合計6両がこの系列に含まれます。さらに、太平洋戦争後には30系、50系の改造車も加わるため、その点にも留意が必要です。

製造の背景

62系電車は、1941年に国有化された身延線の輸送能力を高めるために計画され、1942年に製作が開始されました。戦時体制の影響で、最終的な完成までには時間がかかり、1944年3月に竣工を迎えました。この車両の構造は、モハ10形とクハ17形の各3両を基に、大井工機部で鋼体化工事が施された結果誕生しました。

車両の仕様

この62系電車の特徴として、身延線の長距離運用に対応した仕様があります。各車両は、便所を備えたクロスシート車として設計されました。側面には2扉があり、4組のボックスシートが並ぶ構造で、車端部や戸袋部にはロングシートも設けられています。この窓の配置は、両形式ともd1D9D11となり、すべての窓幅は800mmです。また、身延線のホームには踏段が設置され、モハ62形とクハ77形の台枠形式はそれぞれUF114、UF115です。

さらに、トンネルの高さを考慮し、全体の車体高も従来型電車より100mm低く設計されています。戦時中の製造であったため、各部品の作業は簡略化されており、外観には雨樋が設けられていないなどの特徴も見られます。

改造経緯

1950年から1951年にかけて、30系からの改造車が静岡鉄道管理局での長距離運用に向けて改造されました。この改造では、中央扉を埋め込み2扉化され、クハ形には便所も設置されました。また、50系からの改造車も同様に改造が施され、当初の計画と異なり車両の側面は完全に作り替えられて、ボックスシート車として再編成されました。

歴史と運用

62系電車は、太平洋戦争後の火災事故を受けて更なる保安対策が施され、屋根が低く設計されたクモハ14形（後の800番台）に置き換えられることとなります。飯田線への転用も行われ、その後の経歴では事故による廃車も数多く発生しました。1953年の車両形式称号規程改正によってもその形式が見直され、番号変更が行われました。

廃車と譲渡

一部の61系電車は後に西武鉄道や伊豆箱根鉄道に譲渡され、特異な形態で活用されるケースもありました。特に、元々は木製の客用扉を使用していたクハ形は、譲渡後に改造され、長期間にわたって運用されていました。62系電車は、戦前から戦後にかけて日本の鉄道車両としての役割を果たし、歴史に爪痕を残しました。

参照文献

• - 沢柳健一『旧型国電50年 I』（JTBパブリッシング 2002年）ISBN 4-533-04376-3

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