国鉄9150形蒸気機関車

9150形蒸気機関車の歴史と特徴

9150形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局・鉄道院に在籍していたテンダー式蒸気機関車です。この機関車は、官設鉄道初の車軸配置2-8-0（1D=コンソリデーション）形の勾配線用機関車であり、その開発は当時の鉄道作業局神戸工場で始まりました。

開発の背景

機関車の設計には、英国から派遣されたリチャード・フランシス・トレビシックが携わりました。彼は汽車監察方としての経験を活かし、特に勾配が急な路線での使用を念頭に置いて設計を進めました。特に、信越線横川 - 軽井沢間や奥羽南線福島 - 米沢間の険しい山岳地帯を走行するために、この機関車が必要とされました。しかし、部品がイギリスから輸入されたため、また工場が他の機関車の修理や製造に追われていたため、開発には約3年を要しました。

1900年6月に初めて2両が完成し、これらはF1形（550, 551）として命名されました。その後、551号は1903年の内国勧業博覧会で展示され、多くの注目を集めました。

その後の増備も続き、1904年から1908年にかけて計10両が製造され、最終的に9150形（9150 - 9159）に形式が改められました。

機関車の構造

9150形は、日本初の国産機関車であるA9形を基に設計されており、ジョイ式弁装置や上付き式のシリンダ弁室、裾広がり型の煙室前板など、その特徴が色濃く反映されています。この機関車は、テンダー機関車でありながらも側水槽を持っていることが大きな特徴です。水槽は、航続距離を延ばすためではなく、重量を増加させて粘着性を向上させるために設計されています。また、標準の真空ブレーキ装置に加え、反圧ブレーキを装備することで、安全性を高めています。

初期のモデルの炭水車は3軸固定式でしたが、1906年以降のモデルは2軸固定式に変更され、全軸距が114mm短縮されています。さらに、1908年のモデルからは砂箱の配置がボイラー上の煙突と蒸気ドームの間に移され、円筒形のものが使用されるようになります。

1914年からは、動輪の直径が152mm大きい1245mmに改造され、蒸気圧力も上昇させる改良が行われました。これにより、全車両が効率的に運用できるようになりました。

主な仕様

9150形の主な諸元は次の通りです:

• - 全長: 14964mm
• - 全高: 3702mm
• - 軌間: 1067mm
• - 車軸配置: 2-8-0
• - 動輪直径: 1092mm / 1250mm
• - ボイラー圧力: 10.5kg/cm² / 12.7kg/cm²
• - 機関車運転整備重量: 48.54t / 49.48t
• - 水タンク容量: 11.12m³ / 11.0m³

運用と廃車

9150形は、落成後すぐに東部鉄道管理局に配属され、奥羽南線の板谷峠や箱根越え区間で使用されました。また、一時期は北海道にも転属し、その後も常磐線で一般貨物列車の牽引に活躍しました。1915年までには、全車が廃車となり、民間に払い下げられることもなく消失しました。

参考文献

この機関車に関する詳細な情報は、臼井茂信の「日本蒸気機関車形式図集成」や、「機関車の系譜図 1」などを参考にすることができます。

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