国鉄C35形コンテナ

国鉄C35形コンテナ

国鉄C35形コンテナは、日本国有鉄道（国鉄）が1984年から1986年にかけて製造した、12フィート長5トン積みの有蓋コンテナです。このコンテナは、鉄道輸送の効率性を高めるために設計され、多くの特長を持っています。

概要

この型は、1983年に導入されたC31形コンテナの改良型として開発されました。C31形は二方から荷役ができる構造が特徴であったのに対し、C35形では全高をわずかに高くし、内部の容積を拡大しつつも、軽量化と製造コストの低減を実現しました。また、国鉄コンテナとして初めて内張りベニヤ板を全面的に廃止し、構造を単純化することで製作工数を削減しました。これにより、製造コストは従来の4分の3にまで抑えられ、財政的に厳しい国鉄の時代において、大量生産が可能となりました。

製造は、民間企業の富士重工業、東急車輛製造に加えて、全国の16の工場や管理所でも行われ、計11,600個が生産されました。しかし1986年には、内張りベニヤ板を再び採用した新型コンテナC36形の生産が始まり、C35形の製造は終了しました。

構造

C35形の荷役扉は、側面と妻面の二方開き仕様で、外法寸法は高さ2,438mm、幅2,438mm、長さ3,658mmとなっています。従来の国鉄コンテナと比較してわずかに全高が増加し、内容積は17.2立方メートル、床面積は8.3平方メートルを確保しています。

このコンテナは、側板、屋根、扉すべてがプレス鋼板製であり、自動溶接技術を利用することで製造工程を簡易化しました。設計によっては異なるプレス形状が存在し、荷票受と表示票受の位置に違いも見受けられます。初期型では荷票受が側扉の右側に設置されていましたが、後期型では左側に移動しました。

塗装は「コンテナブルー」として知られる青22号一色で、一貫したデザインが維持されています。後に発足したJR貨物のコーポレートカラーにも用いられています。

現状

1987年4月に行われた国鉄の分割民営化に際し、C35形コンテナの大部分は日本貨物鉄道（JR貨物）に引き継がれ、継続的に使用されました。しかし、1994年度以降は、19B形、19D形、19G形などの新型コンテナが登場し、古いC35形コンテナは廃棄されるか、WC35形に改造されていきました。最終的には2010年度に全廃され、長い歴史を終えました。

参考文献

• - 貨車技術発達史編纂委員会（編著）『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004）年』社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年。
• - 吉岡心平『国鉄コンテナのすべて』 下、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 122〉、2009年。

関連項目

• - JR貨物のコンテナ形式

C35形コンテナは、効率的な輸送手段として日本の鉄道貨物業界に影響を与えた重要な存在でした。

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