国鉄ED40形電気機関車

国鉄ED40形電気機関車

国鉄ED40形電気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道院によって1919年から製造された、アプト式ラックレールに対応した直流用の電気機関車です。この機関車は主に、信越本線の横川 - 軽井沢間、特に碓氷峠の山岳地帯で使用されました。

概要

ED40形は1919年から1923年にかけて合計14両が製造されました。最初の4両は1919年に鉄道院の大宮工場（現在のJR東日本大宮総合車両センター）で完成し、その後も段階的に増備が行われました。この機関車の製造は、日本国内で初めての国産電気機関車として位置づけられています。

他の蒸気機関車に代わって電気機関車が運用されるようになり、1921年には碓氷峠区間での蒸気機関車運転が廃止されました。製造時の形式番号は10020形でしたが、1928年に現在のED40形に改番されました。

ED40形の特徴は、切妻車体にパンタグラフを搭載し、片運転台型の設計です。また、動力伝達はギアを通じて動輪に伝えられます。

運用状況

ED40形は主に横川機関庫に配置されて信越本線の横川 - 軽井沢間で長らく使用されましたが、老朽化や後継機であるED42形の増備の影響で、1943年から廃車が始まり、1952年に最後の1両が除籍されました。これに伴い、ほとんどのED40形は運用を終了しましたが、その中には1951年に富山港線で使用された記録が残っています。

私鉄への譲渡

1947年にはED40形の一部が私鉄に譲渡されました。この中には、2両が東武鉄道、3両が駿豆鉄道、2両が南海電気鉄道に譲渡され、それぞれの会社で再利用されました。これに際し、ラック式用の機器は取り外され、改造が行われました。

東武鉄道

東武鉄道に譲渡されたED40形は、日光軌道線で使用され、後にED4000形として改番されました。一部は、急勾配に対応するために改造され、特別な運用が行われました。最終的に、これらの機関車も廃車となりました。

駿豆鉄道

駿豆鉄道に譲渡された車両は形式称号を維持しつつ改番され、特にED4011は大規模な改造を受けました。この改造により、運転台が両側に設置され、機械的な特性も大幅に変わりました。運用を経て、運行が廃止されると、いずれも解体されました。

南海電気鉄道・秋田中央交通

南海電気鉄道に譲渡された機関車の一部は再度、秋田中央交通に譲渡され、改番されました。これらの機関車は低速での運用に制限され、主に入換え作業で使用され、最終的には解体されました。

保存と文化的意義

現在、10号機が復元され、鉄道博物館に展示されています。2018年には国の重要文化財に指定され、その保存に向けた取り組みが評価されました。展示方法は、アプト式の機構が見られるように工夫され、訪問者はその仕組みを直接観察できる環境が整えられています。

このように、国鉄ED40形電気機関車は、日本の鉄道史における重要な遺産であり、国産電気機関車の誕生と技術的な進化の象徴とも言えます。

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