国鉄ED77形電気機関車

ED77形電気機関車について

ED77形電気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）が1967年に製造を開始した交流電気機関車です。この機関車は交流電気機関車のひとつの標準形式であるED75形を基にしており、特に軸重制限がある線区に対応できるように工夫されています。また、試作機のED93形も1965年に製造されたため、本項目ではその特性にも触れたいと思います。

概要

ED77形は、ED75形の設計を参考にしつつ、サイリスタ位相制御技術を用いて運行性能を向上させました。この方式は、電圧制御を利用してモーターの出力を調整するもので、急激なトルク変化を抑えます。そのため、加速性能や粘着性能に優れる特長があります。これにより、幹線だけでなくローカル線にも柔軟に対応できる機関車のデザインが実現されました。

車両の設計

ED77形はED75形をベースにした車体を採用し、外観のデザインも似ていますが、いくつかの重要な改良が施されています。そのひとつが中間に無動力台車を装備することにより、車体が延長されている点です。また、耐寒耐雪性能を向上させるため、特高機器を室内に配置しました。これによって、運転室側に下降式の窓が採用され、従来のモデルと比べて実用性が高まっています。

試作機 ED93 1

ED77形の前身として、1965年に日立製作所によりED93 1が製造されました。この試作機は、仙山線での運行を想定して作られ、性能試験を行った後、1966年1月から仙台 - 作並間で営業運転を試みました。試作機が量産モデルと異なる点は、量産車に採用された重連総括制御のために設けられた貫通扉がED93には存在しないところです。ED93には、次世代の機能が数多く試験されたため、その後のED77形設計にも多くが反映されています。

軸重可変機能

1960年代の中頃、交流電化が進むにつれて、軌道の強度が低い線区でED75形の使用が制限される場合がありました。そのため、ED93形では動台車間に無動力の台車を追加し、空気圧で軸重を調整できる仕組みが採用されました。これにより機関車の稼働範囲を広げることが可能となり、特にED76形やED94形にもこの機能が引き継がれています。

サイリスタ位相制御による革新

ED77形が導入したサイリスタ位相制御の技術は、交流機関車としての運転性能向上に寄与しました。従来の抵抗器を利用した制御方式とは異なり、位相制御により滑らかな加速が可能となり、列車暖房用の蒸気発生装置などの追加装備との相性も良好です。この技術の試験はED93形で始まり、その後の量産機においても活用されました。特に、北海道向けのモデルとして全てサイリスタ制御されたED75 501も試験され、多くのデータが本機の製造に生かされています。

形態部門

ED77形の中には、試作機ED93 1が量産改造された901号車が存在します。この車両は、1968年に改造が行われ、これにより重連制御が可能になりました。外観はEF62形に似た部分が残っているものの、量産車としての能力を発揮するよう改造されました。しかし、この車両も1986年には廃車となり、現在では残っていません。

運用状況

ED77形は、主に東北地方の電化路線での使用が見込まれ、特に磐越西線に導入されました。仙山線や田沢湖線での運用構想もありましたが、結局は他の機関車が優先されたため、運用範囲は限られました。1987年に国鉄分割民営化が行われた際には、7両がJR東日本に引き継がれましたが、ED75形の適用範囲の広がりとともに、1993年までに運用を終えてしまいます。

保存機

ED77形のうち、数両が静態保存されましたが、いずれも解体されてしまい現存しません。特にED77 1は廃車後に何度か移転されましたが、最終的に解体される運命にあります。最も最後まで保存されていたED77 2もまた解体されたため、ED77形は歴史の中でその姿を消しました。

このように、ED77形電気機関車は、国鉄時代における重要な技術の進化と運用の流れの中で、大きな役割を果たしました。

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