国鉄TR23形台車

TR23形台車について

概要

TR23形台車は、日本の鉄道省（国鉄）が開発した客車用の2軸ボギー台車であり、1928年に初めて設計されました。この台車は、球山型鋼という材料の使用が困難になったことを背景に、新たに設計されたもので、1929年度に製造が始まりました。これ以降、国鉄の多くの客車に標準仕様として採用され、効率的な輸送を支えました。TR23形は1930年代から1940年代にかけて様々な車両に広く利用され、1950年代初頭まで製造が続けられることになります。

設計の理由と経緯

TR23形台車の開発は、1914年以降の鉄道省による客車用台車の主要材料としての球山型鋼の使用が不可能になったことがきっかけでした。この鋼材は元々船舶用に製造されていたものでしたが、第一次大戦後の造船不況により生産が中止されました。鉄道省は八幡製鐵所に特注生産を依頼しましたが、要求される最低生産量が非現実的だったため、断念せざるを得ませんでした。

そこで鉄道省は、球山型鋼を使用しない新たな設計を行い、TR23形が誕生しました。この台車は、軽量化と荷重上限の向上を目的に設計され、さらにその後の鋳鋼製側枠を採用することで乗り心地の改善に繋がる施工が進められました。こうしてTR23形は、国鉄の客車にとって重要な役割を果たすことになりました。

構造と設計

TR23形の設計は、主にアメリカのペンシルバニア鉄道が使用していた台車を参考にしており、揺れ枕吊りを活用した軸ばね式の台車構造を持っています。台車枠は鋳鋼製の軸箱部とH形鋼の側梁から構成され、接合部分はリベットで固定されており、強度と保守性のバランスが考慮されています。特に、ばね装置は単列式コイルばねを使用しており、車両の荷重を効率的に支える設計が特徴です。

この台車には、強度や保守性に関連するいくつかの利点がありました。主要な材料を一般的な鋼材と鋳鋼部品で構成することで材料の調達が容易になり、また、軸距も事前の設計で柔軟に調整可能でした。さらに、釣り合い梁を省略することで重さを抑え、軌道への負担が軽減されていました。

使用の広がりと改良

TR23形は、優れた性能を示し続けたため、1930年代から1940年代にかけて国鉄の客車のみならず、電車や気動車にも取り入れられるようになりました。この時期に実施された改良により、台車の振動をさらなる軽減と効率化に向けた施工が行われ、より快適な乗車体験が実現しました。當時の日本において、TR23形はそのデザインや機能の面でも革新性を持ち、非常に高い評価を受けていました。

長期にわたり生産され、使われ続けたこの台車は、1960年代まで運用され続け、その姿は1980年代初めまで国鉄線上で見かけることができました。 TR23形は、一般的な客車が運行を続けている中で、多くの人々に利用され、鉄道の発展に寄与しました。

多様な派生形式

TR23形を基にした多くの派生形式も存在し、例えばTR23Aは戦前の流線型電車の付随車用に、TR23Bは戦後の復旧客車などに使用されました。これらの台車は、性能を高めつつも根本的な設計を継承し、多くの改造や開発がなされました。戦後には初めて国産のころ軸受の導入も試みられ、TR23形の知見が活かされています。

結論

TR23形台車は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした台車の一つであり、長年にわたり多くの車両に搭載され、鉄道の発展を支えました。設計の柔軟性や量産体制、さらには改良に向けた取り組みの成果がこの台車の成功の要因となり、現在でもその名は語り継がれています。

もう一度検索