国際セリ名簿基準委員会

国際セリ名簿基準委員会と国際セリ名簿基準書

競走馬のセリにおいて、競走実績を客観的に評価するための国際的な基準を確立するために、国際セリ名簿基準委員会（ICSC: International Cataloguing Standard Committee）が設立されました。ICSCは、セリ名簿におけるブラックタイプ（ゴシック体）の表記基準を標準化し、各国間の競走レベルの認識の統一を目指しました。

1952年、アメリカ合衆国のセリ業者ファシグ・ティプトンが考案したブラックタイプ方式は、ステークス競走勝利馬の実績を強調して表示するもので、欧米を中心に普及しました。しかし、欧州のグループ制とアメリカのグレード制という異なる重賞格付けシステムの存在が、国際的な基準の統一を阻む要因となっていました。

この問題を解決するため、1981年にアメリカ、イギリス、アイルランド、フランスの4カ国から競馬関係者12名が参加し、ICSCが組織されました。その後、カナダ、アジア、南米などからも代表が加わり、国際的な格付け基準を策定し、毎年『国際セリ名簿基準書』(International Cataloguing Standards Book) を発行しました。

『国際セリ名簿基準書』は、サラブレッドの平地競走と障害競走の重賞競走を、国際的な格付けに基づいて分類したものです。競走は、パートI、パートII、パートIII、パートIVの4つのパートに分類され、パートIは国際的な最高レベルの競走、パートIVは障害競走を表します。各パートへの掲載基準は、競走の格付け、国際競走への開放状況、外国調教馬の参加状況などを考慮して定められています。

しかし、ICSCと国際競馬統括機関連盟（IFHA）の諮問機関である国際格付番組企画諮問委員会（IRPAC）の活動内容に重複が見られたため、2007年にICSCは解散しました。その後、競走のグループ・グレードの格付けはIRPACが行い、セリ名簿の表記基準は各地域の国際セリ名簿基準小委員会（ICS Sub-Committees）が担当することになりました。

現在では、『国際セリ名簿基準書』はIRPACによって維持されており、サラブレッド競走の国際的な格付けとセリ名簿の表記基準を定める重要な役割を担っています。パートIに認定されるためには、その国のグレードまたはグループの格付けを受けた競走が外国調教馬に開放された国際競走でなければなりません。これは、国際的な競争力を有する競走であることを示しています。

『国際セリ名簿基準書』は、競走馬の価値を評価する上で重要な情報源であり、セリ市場において重要な役割を果たしています。また、世界の競馬関係者にとって、競走馬の国際的な評価基準を理解するための重要な資料となっています。

2024年現在、各パートに認定されている国・地域は以下のように分類されていますが、詳細な国名などは『国際セリ名簿基準書』を参照する必要があります。

パートI

パートII

パートIII

パートIV (障害競走)

これらの情報は、競走馬のセリにおける価値判断、国際的な競走馬の交流、そして競馬界全体の国際的な発展に貢献しています。今後、IRPACによる継続的な取り組みによって、『国際セリ名簿基準書』はさらに充実し、世界的な競馬界の発展に寄与していくことが期待されます。

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