国際化ドメイン名

国際化ドメイン名（IDN：Internationalized Domain Name）とは、インターネット上で使用されるドメイン名において、従来のアルファベットや数字だけでなく、漢字、アラビア文字、キリル文字、ギリシア文字など、多言語の文字を利用できるようにする仕組みです。日本語においては、特に「日本語ドメイン名」と呼ばれることもあります。

このIDNの概念は1998年頃から検討されていましたが、関連する規格が全て標準化された2003年にようやく利用が開始されました。当初、試験運用段階ではRACEという変換方法（プロトコル）が主に使用されていましたが、その後、Punycodeという符号化方式が標準化されたことで、各ドメインはPunycodeに対応するようになりました。

関連する重要なドキュメントとしては、以下のものがあります。

RFC 5890: IDNAのアーキテクチャを定義しています。
RFC 5891: Nameprepという、類似した文字を同一文字として扱う正規化方式について規定しています。また、Unicodeの正規化Stringprepとの関係についても示しています。
RFC 3492: Punycodeについて定義しています。Unicodeの文字をDNSで使用可能な文字を使ってエンコードする符号化方式です。RFC 5891はRFC 3492を更新していますが、規定されたアルゴリズムに変更はありません。
RFC 2825: IDNを含むDNSの拡張に向けて、IAB（Internet Architecture Board）が出した要件について記述されています。
RFC 2826: IDNの実現に向けて、IABが出した要件について記述されています。

IDNに対応している主なブラウザは以下の通りです。

Internet Explorer (Windows)
IEコンポーネントブラウザ（一部）
jigブラウザ（携帯電話用）
Netscapeシリーズ
Mozilla
SeaMonkey
Mozilla Firefox
Opera
Safari
Google Chrome

しかし、一部のブラウザでは、フィッシング詐欺対策として、国際化表記をせず、Punycode（「xn--」で始まる英数字とハイフン）で表示する場合があります。これは、偽キリル文字などを用いてURLを偽装する手口に対抗するための措置です。

具体的には、以下のような場合に国際化表記が抑制されます。

Internet Explorer: 利用言語以外の文字を含む場合、複数の文字体系が混在する場合、言語に属さない記号を含む場合。
Microsoft Edge: (上記IEに準拠)
Google Chrome: 利用言語以外の文字を含む場合、複数の文字体系が混在する場合、内蔵のブラックリスト内の文字を含む場合。ホモグラフ攻撃への対策も進められています。
Mozilla Firefox: 内蔵のブラックリスト内の文字を含む場合。設定により国際化表記を強制停止することも可能です。
Opera: 内蔵のホワイトリスト外のトップレベルドメインの場合。
Safari: 内蔵のホワイトリスト外の文字体系を含む場合。特にラテン文字と誤認しやすいキリル文字、ギリシア文字、チェロキー文字は標準でリストから除外されています。

国際化ドメイン名は、インターネットの利用をより多様な言語に対応させる上で重要な役割を果たしていますが、同時にセキュリティ上の課題も抱えています。そのため、ブラウザや関連技術は常に進化を続けており、安全な利用環境が確保されるよう努められています。

関連事項
Internationalized Resource Identifier (IRI)

外部リンク
国際化ドメイン名 - JPNIC
ICANN: Internationalized Domain Names

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