国際協力

国際協力とは

国際協力（こくさいきょうりょく）とは、政府、民間団体、さまざまな国際組織が行う、国境を越える援助や協力の活動を指します。この概念の起源は19世紀の赤十字活動にさかのぼり、1960年代から本格的に国際的な枠組みが整ったとされています。特に日本においては、1980年代以降、様々な国際協力の活動が積極的に展開されるようになりました。

歴史的背景

国境を越えた援助活動の初期形態は、1863年に設立された「5人委員会」が起源です。第一次世界大戦後の1919年に英国で設立された「セーブ・ザ・チルドレン」や、第二次世界大戦の前後に設立されたOxfam、CARE、カリタス・インターナショナルなども、国際協力を志向する民間の取り組みのルーツとなります。その後、1944年のブレトンウッズ会議で国際通貨基金（IMF）や世界銀行が設立され、米国が戦災復興支援を実施することで国家間の経済援助の基盤が固まっていきました。

1960年代には「国連開発の10年」が提唱され、国際的な協力がさらに促進されることになります。

南北問題と開発途上国

国際協力の背景には、北側の先進国と南側の開発途上国との間に存在する経済的な格差、いわゆる「南北問題」があります。1959年、英国の金融機関の頭取がこの問題を指摘しました。開発途上国は、歴史的に植民地からの独立を果たしたものの、経済的自立を果たすことがなかなかできず、先進国との経済的な不均衡が続いています。

国際機関では開発途上国を定義する際に異なる基準が用いられており、OECDではODA（政府開発援助）の対象国をリスト化しています。しかし、一方で「開発途上国」という用語もその定義に異論があり、さまざまな呼称が使われることもあります。

国際開発の動向

「開発」という用語は第二次世界大戦以降、経済的格差是正のための活動と広く捉えられるようになりました。国連は1960年代に国際開発の重要性を唱え、各国政府と国連機関が中心になり国際的な取り組みが行われるようになります。1970年代にはNGO（非政府組織）が登場し、住民参加型のアプローチが強調されるようになりました。国連開発計画（UNDP）は1990年から『人間開発報告書』を毎年発行し、人間開発の重要性が浮き彫りとなります。

2000年には国連ミレニアム・サミットが開催され、「ミレニアム[[開発目標]]（MDGs）」が設定されました。これには貧困撲滅や初等教育の達成といった具体的な目標が含まれ、国際的な取り組みが一層進められています。

日本の国際協力の取り組み

日本の国際協力は、戦後賠償の枠組みから始まり、1954年にビルマとの間に賠償協定を結ぶことからスタートしました。1958年にインドに対して行った協力が、政府開発援助としての初の試みとされます。1977年には「政府開発援助3年倍増計画」が策定され、日本の本格的な国際協力が整うことになります。私的なNGOの活動も盛んになり、特に1979年のインドシナ難民問題がきっかけでした。

政府開発援助（ODA）とNGOの役割

ODAは、開発途上国への支援を政府が行うもので、公共部門が中心になって取り組まれています。この援助は経済の改善と福祉向上を目的としており、特に条件が緩やかな援助が求められます。在住の人々の力を引き出し、自立を促すのが重要です。また、NGOは市民主体の草の根国際協力活動に取り組むことで、地域のニーズに即した支援を行う重要な役割を果たしています。

国際協力のアプローチ

国際協力は、慈善型開発から技術移転型開発、参加型開発へと進化しています。慈善型開発は支援の必要に即応する形で行われるため、時に現地の自立を妨げるリスクがあります。それに対して、技術移転型開発は、専門性を持って支援を行うことに重点が置かれ、受益者にとっての実利を重視します。さらに、参加型開発は、地域住民自身が協力し自らの声を反映させることを重要視し、より持続可能な発展を目指します。

このように、国際協力は多様な形で展開され、過去の教訓を生かして進化を続けています。

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