国際子午線会議

国際子午線会議とは

国際子午線会議は、1884年10月にアメリカのワシントンD.C.で開催された国際会議です。この会議の目的は、国際的に使用する本初子午線を決定することでした。会議はアメリカのチェスター・A・アーサー大統領の要請で開催され、「万国共通の経度零度並びに時刻計算の基準として用いられるべき子午線」の選定が議題となりました。結果として、グリニッジ子午線が国際的な経度0度の基準として採用されました。

会議の背景

1870年代までに、航海用の本初子午線を確立する要求と、鉄道時刻表に使用する地方時の統一という二つの圧力が世界的に高まっていました。

1871年の第一回国際地理学会議では、小縮尺の水路図にグリニッジ子午線を使用することが提案され、15年以内の義務化が示唆されました。イギリスでは1840年にはグレート・ウェスタン鉄道で標準化された鉄道時間が使用され、1847年には鉄道運賃交換所がグリニッジ標準時（GMT）の採用を宣言しました。英国郵政省は電信でグリニッジから報時信号を送信し、1848年までに『ブラッドショーの鉄道案内』は統一された時刻を掲載しました。しかし、アメリカでは、100以上の地方平均時が使用され、時刻のずれは3時間以上にも及んでいました。1870年にチャールズ・ダウドは全国を3つの時間帯に分けることを提案し、1872年にはそれをグリニッジ子午線に基づく4つの時間帯に修正しました。

1876年、サンドフォード・フレミングは「地球時」という論文で24時間制の世界時を提案しました。彼は、地方平均時の補正が太陽時よりも大きいことを指摘し、1878年から1879年にかけてグリニッジ子午線を使用した提案を行いました。これらの論文は重要とされ、イギリス政府は18か国の諸外国と学術団体に複製を送りました。同時期にアメリカ気象局も同様の提案をしました。

これらの提案は、アメリカ海軍天文台台長とイギリス王室天文官から反対を受けました。海軍天文台は、グリニッジ報時信号をハーバードから送信する計画を妨害しようとしました。国際子午線会議の起源は、1881年の第三回国際地理学会議にあり、そこでは本初子午線の確立と時刻の統一が議題となりました。1883年10月の第七回国際測地学会議で技術的な詳細が検討されましたが、外交的な取り決めは後の会議に持ち越されました。

アメリカでは、1882年8月3日に大統領が国際会議を招集する法案が可決され、1883年10月11日にはシカゴで鉄道事業者がグリニッジ平均時を基準とする時間帯の実施に合意しました。これらの動きは、ワシントン会議への招待状が発送される前に、標準的な鉄道時間への移行を促進しました。

会議の参加国

会議には26か国から41名の代表者が参加しました。

会議での決議

1884年10月22日、会議で以下の決議が採択されました。

1. 唯一の本初子午線の採用: 世界中の多種多様な本初子午線を廃止し、唯一の本初子午線を採用することが望ましいとされました。
2. グリニッジ子午線の採用: 経度の本初子午線として、グリニッジ天文台の子午儀の中心を通過する子午線が採用されました。
3. 経度の計数: グリニッジ子午線から経度は東と西に180度まで計数され、東経は正、西経は負とされました。
4. 世界日 (universal day) の採用: 世界日を採用することが提案されましたが、地方時または標準時の使用は妨げないものとされました。
5. 世界日の起点: 世界日は平均太陽日であり、本初子午線の正子（午前0時）に始まり、0時から24時まで計数されるとされました。
6. 天文日と航海日: 天文日と航海日が正子に始まるように整理されることが希望されました。
7. 十進法の適用: 角度と時間の分割に十進法を適用する計画が再開されることが希望されました。

グリニッジ子午線の採用は、22対1で可決されました（ドミニカ共和国が反対、フランスとブラジルが棄権）。フランスは1911年までグリニッジ子午線を世界日の起点として採用せず、代わりに「9分21秒遅れのパリ平均時」を使用していましたが、最終的に1978年に協定世界時（UTC）に置き換えました。

会議はタイムゾーンを採用せず、標準時は世界日から明確に除外されました。サンドフォード・フレミングは万国標準時を提案しましたが、他の代表者から反対されました。

1925年1月1日には、国際天文学連合の決議により、天文日の始まりも正子に変更されました。

決議されなかった案

10月13日の決議案「本初子午線は絶対中立の性格を有していなければならないこと。本初子午線は科学と国際通商に可能な限りすべての利点を確保するために排他的に選択されるべきであり、特に、大きな大陸 ―ヨーロッパ及びアメリカ― のいずれをも横切ってはならないこと」は反対多数で否決されました。

会議の成果

会議の主要な問題は、本初子午線が中立的であるべきとするフランスの主張でしたが、最終的にはグリニッジの実用的な議論が支持されました。また、天文日の始まりを正午から正子に変更することで、国際日付変更線の位置が現在の場所に収まることになりました。

サンドフォード・フレミングの「本初子午線に基づく1つの第一標準時と、地方時の計算基準となる24の第二標準時を設ける」という提案が支持されました。ヨーロッパのほとんどの国は10年以内にグリニッジ標準時を採用し、その後もこの傾向は続きました。フランスは1911年までパリ時間を維持し、後に異なる天文台のずれを解消するために再度会議を開催し、第一次世界大戦後に国際報時局が設立されました。

まとめ

国際子午線会議は、国際的な時間と経度の基準を統一する上で非常に重要な会議でした。グリニッジ子午線の採用は、世界的な時刻の標準化を進める上で大きな一歩となり、その後の世界的な時間管理の基盤となりました。

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