国際日付変更線

国際日付変更線（IDL）

国際日付変更線とは、地球上で日付が変わるポイントを示す理論的な線で、ほぼ経度180度に位置します。この線は、東から西へ、あるいは西から東へ移動する際に日付を変える必要がある地点でもあります。日付変更線をまたぐことで、前日や翌日といった状況が生じ、旅行者や航海者に影響を与えます。

日付変更線の概要

地球上の経度が15度異なる地域では、通常、現地の時刻が1時間程度異なります。しかし、これが旅行者にとって誤解を招く事態を引き起こすことがあります。たとえば、旅行者が経度を15度移動して時計の針を1時間ずつ進めていくと、一周した結果、時刻は正しいのに日付が1日ずれてしまうのです。この問題を解決するために、国際日付変更線が設定されています。

具体的には、日付変更線を西から東に横断する場合、日付は1日戻り、東から西の場合は1日進みます。そのため、オセアニアの航空路線の中には、実際の飛行時間が6時間に満たないにもかかわらず、到着する日付が前日になる、または2日後になることがあります。実際に、グアムからホノルルに向かうフライトでは、到着日付が1日前になった経験もあります。

日付変更線の歴史

16世紀には、マゼランの航海によって日付の矛盾が明らかになりました。彼の航海士が記録していた曜日が、寄港先で実際の曜日と比べて1日遅れるという出来事が起こりました。これはマゼラン一行が地球の自転とは逆向きに進んだため、現地での太陽の昇り方が出発地の人々と異なったためです。この出来事は、後に日付変更線の重要性が認識されるきっかけになりました。

日付変更線の変更

経度180度付近に位置する国々では、日付変更線を自由に選択することができます。そのため、ある国での時刻の変更に伴い、日付変更線も移動することがあります。1844年にフィリピンが日付変更線の西側の日付を採用することで、同年の次の日が1845年1月1日になるという事例がありました。

さらに、1867年にはアラスカがロシアからアメリカに移行する際に日付変更線が使われ、日付が1日戻り、12日分進むことになりました。このように、日付変更線は国の移動や変更に影響されることがあります。

1892年と2011年、サモアでは国王の決断によって日付変更線を変更し、サモア独立国とトケラウは貿易上の理由から、再度日付変更線の西側の日付に移行しました。これは、取引する商圏の都合を優先する形で、新たな標準時を定めた結果となっています。

日付変更線が登場する作品

文学や漫画においても国際日付変更線は重要なモチーフとして使われています。ジュール・ヴェルヌの小説『八十日間世界一周』では、この日付変更線が巧妙に利用され、物語の結末に影響を与えています。また、ウンベルト・エーコの『前日島』では日付変更線上にある架空の島が舞台となっており、日付の矛盾が物語の要素として組み込まれています。

このように、国際日付変更線は地理的な観点だけでなく、歴史や文化的な側面からも多くの興味を引くトピックです。

もう一度検索