国際標準楽譜番号

国際標準楽譜番号（ISMN）とは

国際標準楽譜番号（International Standard Music Number, ISMN）は、国際標準化機構（ISO）が定めた楽譜を特定するための国際的な識別子です。13桁の数字で構成されており、楽譜の出版物を一意に識別することを目的としています。ISMNは、書籍におけるISBNと同様の役割を果たし、楽譜の管理や流通を効率化するために重要な役割を担っています。

ISMNの歴史

ISMNの初期案は、国際音楽資料情報協会（IAML）イギリス支部によって提案されました。その推進には、アラン・ポープ（オックスフォードのブラックウェル音楽省）とマルコム・ジョーンズ（バーミンガムの音楽図書館員）が尽力しました。

1987年にアムステルダムで開催されたIAMLカンファレンスでISMNの構造と応用に関する草案が発表され、1989年にはオックスフォードで開催された同カンファレンスで更なる議論が行われました。その結果、イギリス、フランス、ドイツの各支部が、それぞれの国の標準化団体（BSI、AFNOR、DIN）の形式を参考に、ISMNをISOのプロジェクトとして制定することが決定されました。1993年にオタワとパリで行われた会議を経て草案が最終決定され、ISOによって正式に制定されました。

日本では、2021年7月に日本ISMNコードセンターが発足し、2023年3月20日に日本産業規格（JIS X0309: 国際標準楽譜番号（ＩＳＭＮ））が制定され、国内規格として標準化されました。

ISMNの構成

初期のISMNは、原則として「M-2306-7118-7」のように、Mの識別接頭辞、発行者ID、項目ID、チェックディジットの4つの要素で構成されていました。しかし、2008年1月1日からは、旧式のMの識別接頭辞に代わり、979-0から始まる13桁の番号識別子に変更されました。これにより、EAN-13番号として項目のバーコードにエンコードできるようになりました。

現在のISMNは、「979-0」というISMNのために予約されている接頭辞、発行者を識別するブロック、項目を識別するブロック、そして最後のチェックディジットの4つのブロックで構成されています。国際標準の責任は、ISO/TC 46/SC 9が担っています。

ISBNとISMNは両方とも出版物に割り当てることができますが、ISBNとは異なり、ISMNは国によって発行者を分けることはありません。

チェックディジットの計算方法

ISMNのチェックディジットを計算するためには、各桁に左から右へ1と3の加重値を交互に掛けます。得られた加重値を全て足し合わせ、その合計を10の倍数にするために必要な0から9までの整数がチェックディジットとなります。

計算例1:

ISMNが「979-0-060-11561」で始まる場合：

1 x 9 + 3 x 7 + 1 x 9 + 3 x 0 + 1 x 0 + 3 x 6 + 1 x 0 + 3 x 1 + 1 x 1 + 3 x 5 + 1 x 6 + 3 x 1 = 85

85 mod 10 = 5となり、チェックディジットは10 - 5 = 5です。したがって、完全なISMNは「979-0-060-11561-5」となります。

計算例2:

ロバート・フリップのギタークラフトコレクションの楽譜には、ISMN「979-0-9016791-7-7」が割り当てられています。最初の12桁「979-0-9016791-7」に対する計算は以下の通りです。

1 x 9 + 3 x 7 + 1 x 9 + 3 x 0 + 1 x 9 + 3 x 0 + 1 x 1 + 3 x 1 + 1 x 6 + 3 x 7 + 1 x 9 + 3 x 1 = 123

123に7を足すと130となり、10の倍数になります。したがって、チェックディジットは7となります。

関連項目

国際標準音楽作品コード（ISWC）

外部リンク

International ISMN Agency
* 『国際標準楽譜番号』 - コトバンク

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