国際標準音楽作品コード

国際標準音楽作品コード（International Standard Musical Work Code、ISWC）は、音楽作品を識別するための国際的な標準コードです。ISBN（国際標準図書番号）のように、各音楽作品に固有の識別子を付与し、世界中で一意に作品を特定することを可能にします。この標準はISO 15707として採用されており、国際標準化機構（ISO）のTC 46/SC 9小委員会がその責任を担っています。

ISWCの形式

ISWCは、以下の3つの要素から構成されています。

1. 接頭辞要素（1文字）: 現在は「T」のみが使用されており、音楽作品であることを示します。将来的には、作品の種類を区別するために他の接頭辞が追加される可能性もあります。
2. 作品識別子（9桁の数字）: 各作品に一意に割り当てられる番号です。番号自体には、作品の国籍や作者、出版社といった情報は含まれておらず、単に発行順に番号が付与されます。
3. チェックディジット（1桁の数字）: Luhnアルゴリズムを用いて算出される数字で、コードの誤りを検出するために使用されます。

ISWCは通常、「T-123.456.789-Z」のような形式で表記されます。この形式におけるグループ化（ハイフンで区切る）は、人間がコードを読みやすくするためのものであり、必須ではありませんが、他の区切り記号を使用することはできません。

最初のISWCは1995年にABBAの「ダンシング・クイーン」に割り当てられ、「T-000.000.001-0」というコードが付与されました。

ISWCの利用

ISWCを登録するには、以下の情報が最低限必要となります。

タイトル: 作品のタイトル
作者情報: 作曲者、編曲者、作詞者全員の名前と役割（役割コードで識別）、および各人のCAE/IPI番号
作品分類コード (CIS)
派生作品の証明: 原曲がある場合は、その作品に関する情報

重要な点として、ISWCは録音自体ではなく、音楽作品そのものを識別するためのコードです。録音を識別するにはISRC（国際標準録音コード）が用いられます。また、ISWCは個々の出版物（CDなどの物理メディア、楽譜、放送時の特定の周波数/時間/場所など）を識別するものでもありません。

ISWCの主な目的は、著作権管理団体による管理や、法的契約において音楽作品を明確に識別することです。また、図書館でのカタログ作成においても、作品を正確に特定するために役立ちます。

ISWCの課題

音楽作品には複数の作者が関わることが一般的であり、このため稀にISWCが重複して発行されたり、重複がすぐに検出されないという問題も発生します。しかし、管理団体間の既存のビジネス慣例により、ISWCを単に廃止することはできません。重複が発生した場合は、ISWCデータベースや関連システムにおいて、各登録記録をリンクさせることで重複登録に対処します。

関連情報

国際標準楽譜番号（ISMN）
Global Release Identifier (GRid)

参考資料

New ISO standard for worldwide identification of musical works
The registration authority
TC 46 SC 9 website
http://www.iswc.org/en/agencies.html
* look up at iswcnet.cisac.org

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