国際汽船

国際汽船株式会社の歴史

国際汽船株式会社（こくさいきせん）は、日本の海運業界で1919年から1943年まで活動していた海運会社です。設立当初、同社は政府が設立に関与した国策会社でしたが、その実態は銀行や民間会社の影響が色濃く見られました。

設立の背景

日本の海運業は明治末期から大正初期にかけて、「社船」と「社外船」の二つの勢力へ分かれていました。社船とは、日本郵船や大阪商船、東洋汽船など、政府から定期航路を受託している大手の海運会社を指し、社外船はそれ以外の独立した海運会社による不定期航路が主体となっている事業体です。社外船が乱立することで競争が激化し、経済的には不安定な状況にありました。

この状況の改善を目指そうと、社外船の合同運動が1914年に再燃しました。第一次世界大戦中、日本の海運業は好景気に湧いていたため、合同の話も進展しました。1919年7月1日には国際汽船が設立され、その名には「海外での活躍」という意味が込められています。

国際汽船の繁栄と陥落

国際汽船は設立から1年後の1920年には62隻という船隊を誇り、日本第3位の船主に成長しました。しかし、第一次世界大戦の終結に伴う経済不況が影を落とし、経営は厳しさを増していきました。予想営業収入は高めに見積もられていましたが、実際には用船料が急落し、結果的に8000万円以上の負債を抱える事態になりました。

経営を立て直すべく、新社長に就任した松方は、ヨーロッパへの船腹需要を狙い、1921年に「Kライン」を設立しました。「Kライン」は、日本を介さずにアメリカやオーストラリアとの三国間航路を開設するものでしたが、国際汽船全体の経営にはあまり反映されず、苦しい状況は続きました。

経営再建と変化

1927年の昭和金融恐慌は国際汽船に大きな影響を与えました。経営基盤が徐々に崩れ、川崎造船所との関係も見直されることとなりました。国際汽船は資本金を大幅に減少させ、経営再建に乗り出し、新鋭のディーゼル船を導入する方針を示しました。

1931年には「郵商協調」に参加した大阪商船に経営を譲渡するよう交渉が進み、1936年には正式に統合が合意されました。国際汽船は大阪商船の下で運営されるようになり、1943年には大東亜戦争の影響で完全に姿を消すことになります。

国際海運株式会社への発展

1948年には国際汽船の名前を引き継ぐ国際海運株式会社が設立されました。海運業界内での共生を図りながら多くの企業と提携し、海外航路の運営を行いました。結果として、この会社は1957年に飯野海運にて支配されるなど、国際汽船の精神を受け継いだ形で存在を続けました。

国際汽船株式会社は、日本の海運業界における国策と民間の関わり合い、戦時中の経営変革によって、その歴史の一端を担った企業でした。

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