国際自動車商事

国際自動車商事の歴史

国際自動車商事は昭和20年代後半から昭和45年（1970年）まで、日本において輸入車ディーラーとして活動していた企業です。このディーラーは、主に高級車の輸入に特化しており、当初はイタリア製の車両を扱っていました。特にアルファロメオやランチアなどのブランドは、当時の日本市場において非常に珍しい存在でした。

創業と初期の取り扱い車種

国際自動車商事は、観光バスやハイヤー・タクシー業で知られる国際自動車の傘下にありました。本社とショールームは東京都港区赤坂の赤坂二丁目に位置していました。創業時の取り扱い車種には、イタリア製のアルファロメオ・1900やランチアのアッピアが含まれていました。特に、アルファロメオ・1900のうちの一台は、当時の皇太子である明仁親王の学友の手に渡り、運転されたという逸話があります。このアルファロメオは、イタリアの宣教師によって1954年に東京都目黒区に建設されたカトリック碑文谷教会の資金調達のために持ち込まれたとされています。

1950年代の転機

1950年代後半に入ると、外貨制限の厳しさから、国際自動車商事は経営難に見舞われますが、駐留米軍向けのアルファロメオの販売やイタリア大使館へのランチア・フラミニアの納入、新三菱重工業製の国産車の取り扱いなどで営業を維持していました。しかし1963年には、アルファロメオの輸入代理権を伊藤忠オートに、ランチアのそれを山田輪盛館に譲渡することに至り、一時的に活動を休止せざるを得ませんでした。

再起と輸入の復活

しかし、国際自動車商事は1965年秋、東京オートショーにランチア・フラヴィアを複数台出品することで再び活動を始めました。この時期には、フルヴィアやフラミニアなどのモデルも多く輸入され、同社のブランド力が強化されたのです。顧客には小説家の安部公房もおり、彼はフルヴィア・スポルト・ザガートを購入しています。また、国際自動車商事が取り扱う車両のリアウィンドウには、黒地に金の縁取りで「Kokusai Jidousha Shoji」と記載されたステッカーが貼られて印象的でした。

最後の日々とその後

1970年には、国際自動車商事はハイヤー・タクシー業を行うケイエム国際（株）に吸収合併され、その後すぐにランチアの輸入を終了しました。そして1972年3月には日本自動車輸入組合を退会し、国際自動車グループの自動車輸入事業が幕を閉じました。ランチアの輸入活動は、その後1976年にフィアット代理店のロイヤル・モータースによって再開されるまで中断されました。国際自動車商事は、小規模ながらも高級車市場において重要な役割を果たした企業であり、その歴史は今でも語り継がれています。

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