国際量体系

国際量体系 (ISQ) の概要

国際量体系（International System of Quantities、ISQ）は、物理科学全般で用いられる量の体系です。現代の科学技術において、あらゆる測定や計算の基礎として広く受け入れられており、その重要性は非常に高いと言えます。ISQは、[国際単位系]と密接に関連しており、SI単位で測定される量を定義する枠組みを提供しています。

ISQは、7つの基本量から構成されています。これらの基本量は、他の全ての物理量を定義するための基盤となります。7つの基本量とは、長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物質量、そして光度の7つです。

基本量以外の物理量、例えば面積や圧力、速度、電気抵抗などは、これらの基本量の組み合わせによって定義される組立量として扱われます。ISQでは、これらの組立量を矛盾なく明確に定義するための量方程式が用いられています。

ISQは、国際標準化機構(ISO)によって規格化されています。具体的には、ISO/IEC 80000シリーズの規格群の中で定義されており、2009年に発行されたISO 80000-1がその基礎となっています。ISO/IEC 80000は、力学、光学、音響学、電磁気学、情報技術、化学、数学、生理学など、多岐にわたる科学分野を網羅しています。それぞれの分野で用いられる物理量が、この規格によって厳密に定義されています。

ISQは、その本質から、無数の量とその間の関係（量方程式）を含んでいます。科学技術の進歩に伴い、新たな物理量が発見・定義されるため、ISQに含まれる量の数も絶えず増加し続けています。これは、ISQが常に最新の科学技術に対応し、発展し続ける動的な体系であることを示しています。

基本量と次元

ISQの基本量は7つありますが、これらの基本量は、慣習的に選ばれた独立な量の部分集合とみなされます。それぞれの基本量には、対応する次元が割り当てられています。次元は、サンセリフのローマン体の大文字一文字の記号で表されます。例えば、長さの次元はL、質量の次元はMといった具合です。この次元記号を用いることで、様々な物理量の次元を系統的に表現することが可能になります。

組立量

基本量以外の量は、基本量の組み合わせによって表現される組立量として定義されます。あらゆる組立量の次元は、基本量の次元の冪（べき）の積で表現できます。これは、次のような一般式で表すことができます。

La Mb Tc Id Θe Nf Jg

ここで、L、M、T、I、Θ、N、Jはそれぞれ長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物質量、光度の次元を表し、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれの次元の冪指数です。例えば、速度の次元はLT⁻¹、加[[速度]]の次元はLT⁻²のように表すことができます。

対数的な量

ISQでは、ある量のレベルを、参照点との比の対数として定義することもあります。これは、特に大きな範囲にわたる値を扱う際に便利です。例えば、音圧レベルは、参照音圧との比の常用対数として定義されます。ISQにおける全てのレベルは、組立量として扱われます。

参考文献

JIS Z 8000-1:2014「量及び単位－第１部：一般」（日本産業標準調査会、経済産業省）
ISO 80000-1 Quantities and units. Part 1: General (1st ed.). Switzerland: ISO (the International Organization for Standardization). (2009-11-15).
Taylor, B. N.; Thompson, Ambler (2008-03). International System of Units (SI). NIST.
国際単位系 (SI) 日本語版刊行委員会『国際文書 国際単位系 (SI) 第8版』（PDF）（日本語版）産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2006年6月。
* (PDF) International vocabulary of metrology – Basic and general concepts and associated terms (VIM) (3rd ed.). BIPM:Joint Committee for Guides in Metrology. (2012).

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