國領經郎

國領經郎について

日本の洋画家、國領經郎（こくりょう つねろう）は、1919年生まれ、1999年に亡くなるまで多彩な業績を残しました。彼は神奈川県横浜市で生まれ、その後東京美術学校の図画師範科を卒業。美術教育にも力を注ぎ、戦前から横浜国立大学教育学部の教授を務め、1985年にその職を退いた後も影響を与え続けました。

受賞歴と展示活動

國領は1947年に日展に初入選し、その後、1955年、1969年、1971年には特選を獲得。1983年には宮本三郎記念賞を受賞し、1986年には日展内閣総理大臣賞も受賞しました。1991年には日本芸術院賞を受賞し、同年に日本芸術院の会員となります。さらに、1992年には紺綬褒章、1994年には勲三等瑞宝章を受けるなど、数多くの功績を残しました。彼の遺作が1999年11月の第31回日展に出品されたことからも、その芸術的影響力が伺えます。

砂の風景への探求

著名な作品は特に「砂の風景」に関連しており、彼は1950年代後半から点描法を用いた風景画の探索を行い、1960年代中頃からは砂のある風景を描き始めました。初期の作品も人物画が中心でしたが、次第に彼の作品は砂丘や風紋、海、舟、さらには鳥などの自然のモチーフを主題とした作品へとシフトしていきます。特に「砂の上の群像」や「運河」といった作品には、彼の独自の視点と技法が色濃く表れています。

主な作品

彼の作品の中でも特に評価されたものには、以下のものがあります。

• - 「運河」（1955年、呉市立美術館）
• - 「砂上の風景」（1969年、横浜美術館）
• - 「海浜の風景」（1971年、個人蔵）
• - 「砂の上の群像」（1974年、京都国立近代美術館）
• - 「跡」（1978年、東京都現代美術館）
• - 「無風の風景」（1980年）
• - 「風」（1981年、愛知県美術館）
• - 「轍」（1982年、横浜美術館）
• - 「静止の空間」（1983年、横浜美術館）
• - 「ある静寂の午後」（1986年）
• - 「海風の風景」（1988年、横浜美術館）
• - 「晨」（1989年、山種美術館）
• - 「讃」（1990年、広島市現代美術館）
• - 「呼」（1991年、日本芸術院）
• - 「薄ら陽の砂州」（1998年、鳥取県）

著作と教育への貢献

教育者としても重要な役割を果たし、彼の著作には「中学校美術科基本的事項の指導」（1971年、共編）や「国領経郎 裸婦」（1983年）、さらに「国領経郎 砂の風景」（1985年）などがあります。彼の教育理念は、多くの後進に影響を与え、技術や視点を育むことに貢献しました。

1999年3月13日に亡くなった彼の影響力は、回顧展として1999年4月に横浜美術館で開催された「國領經郎展」や、その後の展示によっても感じられます。彼の作品は、今なお多くの人々に愛され続けており、その美術界への貢献は計り知れません。

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