圏点

圏点・傍点・脇点：日本語の強調記号

圏点、傍点、脇点とは、日本語の文字を強調するために用いられる記号です。文字の横に、または上下に小さな点を付加することで、特定の文字や語句を目立たせる役割を果たします。縦書きでは黒または白の小さな丸（ゴマ）、横書きでは黒または白の丸（ビュレット）などが一般的に使用されます。二重丸や蛇の目などのバリエーションも存在します。

歴史と用法

圏点の歴史は古く、濁点が一般的に使用されるようになる以前は、濁音を表すために用いられていました。明治時代以降は、文章における強調が必要な箇所に用いられるようになり、文学作品だけでなく、学術論文など様々な分野で利用されるようになりました。1946年の文部省による「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕」では、「ワキテン」という名称で定義され、読者の注意を喚起する語句、観念語の仮名書き、俗語や方言などを示す場合などに使用が推奨されました。

現代では、正誤表示（黒丸で誤り、白丸で正しい文字を示す）、選挙公報などでも使用されています。また、満州文字や中期朝鮮語では、日本語とは異なる目的で用いられていました。満州文字では一種のダイアクリティカルマークとして、中期朝鮮語では声調を表すために使用されていました。

圏点の使用方法

強調したい文字一つ一つに、一つずつ圏点を付けます。類似の強調方法として、傍線があります。圏点と傍点、脇点は、厳密に区別されることもありますが、多くの場合、同じ意味で用いられます。

JIS規格とCSS

JIS X 4051では、圏点の文字サイズ、位置、数などが規定されています。文字サイズは親文字の1/2、親文字1文字につき1つの圏点を付け、縦書きの場合は右側に、横書きの場合は上側に配置します。

CSSにおいては、圏点の表示を制御するためのプロパティが提供されています。1999年のドラフト段階では`font-emphasize-style`と`font-emphasize-position`が提案され、その後、CSS Text Decoration Module Level 3で`text-emphasis-style`、`text-emphasis-position`、`text-emphasis-color`として標準化されました。`text-emphasis-style`では圏点の形状や文字を指定し、`text-emphasis-position`では位置を指定します。`text-emphasis-color`では圏点の色を指定できます。これらのプロパティを使用することで、ウェブページ上でも圏点を表示することが可能です。

ブラウザの対応状況

2016年時点では、OS X版とiOS版Safariが完全なサポートを提供していました。他のブラウザでは、完全なサポートは提供されておらず、ベンダープレフィックスが必要な場合や、縦書き時のサポートが不完全な場合があります。EPUB 3.0以降では、ベンダープレフィックス`-epub-`を付加することで電子書籍での表示が可能となっています。

まとめ

圏点、傍点、脇点は、日本語の文章における重要な強調記号です。歴史的背景や現代における様々な用途、そしてCSSによるウェブ上での実装方法について理解することで、より効果的な文章表現が可能になります。ブラウザの対応状況に注意しながら、適切な環境で活用することが重要です。

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