圓頓寺 (名古屋市)

圓頓寺（えんどんじ）

愛知県名古屋市西区那古野一丁目に位置する圓頓寺は、日蓮宗に属する重要な寺院です。この寺院は長久山という山号を持ち、旧本山は京都の立本寺にあたります。また、圓頓寺は「円頓寺」とも表記され、地元では親しまれる存在です。

歴史的背景

圓頓寺の創建は、承応3年（1654年）、普敬院日言の手によって開始されました。当初の所在地は廣井村八軒屋敷で、現在の名古屋国際センターの近くにありました。創建時、本堂の建設には名古屋城の天守閣から拝領した木材が使用されたと言われています。

最初に設定された寺号は「普敬院」でしたが、明暦2年（1655年）には立本寺の末寺となり、現在の「長久山圓頓寺」と改名されました。圓頓寺は、後に三世の一性院日良によって、尾張徳川家との関わりが深まりました。元禄7年（1694年）には、藩主徳川光友から七面木像や蔵品が寄贈され、寺の発展を象徴する出来事となりました。

元禄13年（1700年）には大火に見舞われたものの、寺は復興を果たしました。しかし、享保9年（1724年）の再びの大火によって全山が焼失する事態が起こります。この火災後、圓頓寺は清水八郎左衛門屋敷へと移転し、火災によって拡幅された堀川沿いの道は「四間道」と呼ばれるようになりました。江戸時代を通じて、寺は数度の修繕や建て替えを行い、圓頓寺筋と名付けられた門前町も形成され、現在の円頓寺商店街へとつながりました。

近代の変遷

明治21年（1888年）には新たな堂宇が建立されましたが、昭和20年（1945年）の名古屋大空襲でほとんどが焼失してしまいます。特に山門以外は全てが全焼しました。その後、1953年までに本堂の再建がされ、現在に至るまで商店街の一部として地域に息づいています。

主な諸堂

• - 鬼子母神堂: 尾張藩初代藩主徳川義直の側室である貞松院が寄進した鬼子母神像を祀る堂です。この像は創建当時の本堂と同様に名古屋城の天守閣の木材から作られたとされ、毎年5月18日に公開されます。現在の鬼子母神堂は、1973年に再建されたものです。
• - 長久稲荷堂: 圓頓寺には他にもさまざまな仏像や堂が存在し、信仰の場として地域住民に親しまれています。

催し物と地域の文化

圓頓寺商店街は、地域の文化やイベントが盛んな場所です。2019年にはあいちトリエンナーレの一環として「円頓寺デイリーライブ」が開催され、訪れた人々に地域の魅力を再認識させました。

アクセス

圓頓寺へは名古屋市営地下鉄の桜通線、国際センター駅から徒歩約5分の距離にあります。また、名古屋市営バスの「明道町」停留所からは徒歩約3分で到達することができます。

圓頓寺は歴史と文化を体感できる場所であり、地域住民や観光客にとって重要な存在です。お参りを通じて、深い歴史を感じることができるこの寺院を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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