土井崎信号場

土井崎信号場

JR九州長崎本線が通過する長崎県諫早市小長井町、肥前大浦駅と小長井駅のほぼ中間に、土井崎信号場（どいざきしんごうじょう）が設けられています。この信号場は、単線区間である長崎本線において、列車が行き違うための重要な施設としての役割を担っています。海岸線から少し内陸側、山間に入った場所に位置しており、周囲の風景は海岸沿いの長崎本線とは趣が異なります。信号場自体には旅客向けの設備はなく、一般の駅のような駅舎もありません。車窓からの眺めも、残念ながら特筆すべき点は少ないようです。施設としては、信号扱いのための信号小屋は見当たらず、代わりに列車の運行状況を監視するための簡素なお立ち台が確認できる程度となっています。

歴史

土井崎信号場は、日本国有鉄道（国鉄）によって設置された施設です。その開業は、昭和51年（1976年）6月1日に遡ります。その後、国鉄の分割民営化が実施された昭和62年（1987年）4月1日には、九州旅客鉄道（JR九州）にその管理・運営が引き継がれ、現在に至ります。長崎本線の輸送力増強や列車運行効率化に貢献してきました。

構造

この信号場は、単線区間での列車交換を目的とした構造を持っています。具体的には2本の線路が敷設されており、上り列車と下り列車が安全に行き違うことが可能です。線路の構成は「一線スルー」方式を採用しており、特に下り線が通過線として機能するようになっています。これにより、一部の列車は信号場で停車せずに本線上を高速で通過することが可能です。構内の線路配置には特徴があり、鳥栖方面に向かう側では線路が大きくカーブしています。

かつての重要な役割として、特急列車の待避が挙げられます。西九州新幹線が開業する以前、在来線特急「かもめ」が運行されていた時期には、一部の普通列車が土井崎信号場で特急「かもめ」の通過を待ち合わせることがありました。しかし、2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴い、在来線としての特急「かもめ」の運行が終了したため、現在はこの場所での特急待避は行われなくなっています。

現在の主な用途としては、引き続き単線区間における普通列車同士の行き違いが行われているほか、小長井駅を終点・始発とする列車が、当信号場の設備を利用して折り返しを行っています。これは、小長井駅自体には折り返し設備がないため、信号場がその機能の一部を補っている形となります。

周辺

土井崎信号場の周囲には、主要な道路として国道207号線が比較的近くを通っています。また、公共交通機関としては、長崎県交通局（県営バス）のバス停留所「土井崎バス停」が信号場の近隣に設けられています。このバス停を発着する路線は、主に同局の諫早営業所方面からの系統が中心となっています。

隣接区間

JR九州長崎本線における土井崎信号場の位置は、肥前大浦駅と小長井駅の間に挟まれる形となります。列車の進行方向によって、肥前大浦駅から向かうと土井崎信号場を経て小長井駅へ、あるいは小長井駅から向かうと土井崎信号場を経て肥前大浦駅へと至ります。

土井崎信号場は、長崎本線の単線区間における列車運行を支える重要な施設であり、その歴史、構造、そして現在の利用状況は、地域の鉄道網の変遷と密接に関わっています。

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